DOMANI・明日展2009@国立新美術館

例によって会期終了ぎりぎりに、
国立新美術館「未来を担う美術家たち-DOMANI・明日展2009」に行ってきました。
タイトルから推して、若手作家ばかりかと思えばそうでもない。

HPには出品作家12名全員の名前は載っていないようなので、
ここに挙げておきましょう。

タピストリー・ワークの久保田繁雄
美術史出身の画家・吉仲正直
漆造形で異文化を融合させる栗本夏樹
天井の高い空間を生かしてインスタレーションを展開した吉田暁子
油彩表現で繊細な触覚を呼び覚ます伊庭靖子
都市を俯瞰し、変容させる写真家・安田佐智種
植物的なフォルムと鮮やかな色彩と独特の質感の彫刻・礒崎真理子
自らのアイデンティティを問い続ける呉亜沙
廃材やテラコッタで「想い出」を具象化する彫刻家・高野浩子
ビデオ&インスタレーションの三田村光土里
陶でレリーフをつくる彫刻家・藤原彩人
日本画の手法で樹木を抽象的に描く浅見貴子


結論からいえば、期待以上におもしろい展覧会でした。
出展作品はさほど多くないのに、ついつい長居してしまった。

作家紹介を主眼にしているだけに、
個々の作家の経歴が掲出されており、
なおかつ、ほとんどの作家が自ら作品に説明を加えています。

とくにコンテンポラリーは、
作家のバックグラウンドや制作意図を知って見れば興が増します。
何よりそこが、この展覧会が面白かったポイントかも。

12人、1ブースずつという展示も、一度に消化しやすくちょうどよかった。


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NO MAN'S LAND@フランス大使館

取り壊しを前にしたフランス大使館の旧庁舎で行われている
アートイベント、「NO MAN'S LAND」に行ってきました。
職員が退去したあとの庁舎を舞台に、
日本とフランス、ほか各国のアーティストが
作品を展示するインスタレーションです。

直島「家プロジェクト」でも妻有アートトリエンナーレでも、
「廃屋を舞台にしたサイト・スペシフィック・アート」は
すでにお馴染みなので、手法に新味はないけれど、
ふだん入れない「大使館」の奥まで入れるのがミソ。
機密の通信に使われていたという、巨大な金庫みたいな部屋も
アートになって公開されています。

1957年に竣工した庁舎は、傾斜地を生かしたコートハウス風のモダンな建物。
設計は、高級官僚出身の若き建築家、ジョゼフ・ベルモンです。

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ここがエントランス。階段の上に中庭が見えます。

内部は、廊下に沿って小さな部屋がずらーっと並ぶ構成。
大勢が机を並べられるような大部屋はありません。
さすが個人主義で知られるフランス人、
みんな個室で働いていたのだろうか・・・。

新しい庁舎の間取りも気になるところです。

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こちらが旧庁舎に隣接する新しい庁舎。

旧庁舎跡地には、野村不動産がマンション建てて分譲するようです・・・。


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内藤礼展@神奈川県立近代美術館 鎌倉

「すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」

これが展覧会のタイトル。

どーもこなれない日本語だなあ、と思っていたら、
ジョルジュ・バタイユの『宗教の理論』の一節だそうです。
フランス語の原文はいたって簡単。

「Tout animal est dans le monde comme de l’ eau à l’ intérieur de l’ eau.」

私だったらこう訳します。

「すべての動物は、水が水の中にあるように、世界の中に存在している」


それはさておき。


作品はすばらしかった!!


会期が1月24日までなので、覚悟を決めて、連休中日の鎌倉に、朝から出掛けてきました。
案の定、若宮大路も小町通りも大混雑。鶴岡八幡宮の参拝も行列です。

八幡様へのご挨拶は失礼し、一の鳥居の前で「回れ右」!
展示会場に直行した後は、お昼も食べずに東京へとって返しました。
鎌倉滞在時間と往復時間はほぼ同じぐらい。


それでも、観てよかった。


坂倉準三の傑作建築を舞台に展開する、繊細な繊細なインスタレーション。


2階展示室のほの暗い空間の中に、点々と灯る小さな明かり、
ガラスケースの内外を、ゆらゆら漂う白い風船。
鑑賞者は、ふだん入ることのない、ガラスケースの中にも立ち入ることができます。


八幡様の源平池に面した1階では、
その日そのときの空と風、水面のゆらぎまでが作品の一部。


作品の一部は、家まで持ち帰れます。


2階展示室に積み上げられた、直径78ミリの丸い紙。
タイトルは「恩寵」。


上から一枚、そっとつまみあげると、
ただの薄紙かと思われた、その真ん中に、小さな小さな文字が、赤いインクで印刷されています。

じっと目を凝らしてみても、そのままでは読めない。

裏返して、透かしてみてわかる、鏡像の文字でした。


ひらがな3文字。


そこになんと書いてあったのか。

ぜひ現地に行ってみてくださいませ。


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同世代が語る戦争ー「戦場でワルツを」

イスラエル映画、「戦場でワルツを」

監督アリ・フォルマン自身の「レバノン侵攻」出征体験に基づいて
アニメーションで描かれたドキュメンタリーです。

日本では、
「おくりびと」(←見てない)とアカデミー外国語映画賞を争った、
ということで話題になりました。


私はどうも「アニメーション」が苦手で、これまで避けていたのですが

「やっぱり、観よう」という気持ちになったのは

この映画が、私にはまったく未知の
「中東戦争におけるイスラエル人の立場」が一人称で描かれている、
と聞いたからです。


第2次世界大戦やベトナム戦争を描いた映画はいくらもあるけれど
現在まで間断なく続く中東戦争を描いた映画は観たことがない。


複雑きわまる中東紛争の一端でも、
知ることができるのでは、と思いました。


けれども、

映画が語るのは、

「イスラエル人」の立場なんかじゃない。

否応なく戦争に放り込まれた

「個人」の心の過酷な彷徨です。


フォルマン監督は言います。


これは「ベトナムやイラクから帰還したアメリカ兵や、
アフガニスタンから戻ったロシア兵でも描ける映画」だと。


観終わって、何より私の心に刺さったのは、


アウシュビッツから生還した両親の元に生まれ、

自らは兵卒として戦場に赴いたフォルマン監督が、

なんと私と同年生まれだった・・・ということでした。


同世代が語る戦争体験。


戦争は、「歴史」の中だけにあるわけじゃない。
今更ながら、そんなことを実感しました。


ドキュメンタリーではあるけれど、
語られる内容のほとんどが「記憶」であるゆえに、
「アニメーション」表現はぴったりです。


リアルと幻想の狭間を漂う映像は美しく、
しかも観るものを飽きさせないエンターテイメントに仕上がっています。

去年観てたら「第1位」でした。
シネスイッチ銀座では15日まで。


おすすめです。


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園子温監督「愛のむきだし」

「愛のむきだし」。

すんごいタイトルですね。

元旦の夜にDVDで観ました。
1年でいちばんのんびりできる、この日をおいては
観ないだろうと思ったからです。


なぜって、、、4時間もある。


信仰とか家族とか、恋愛とか性(っていうかエロ)とか、、
いろんなテーマが詰め込まれていますが、
さて、4時間分ものスケール感があるかというと・・・?

ただ、4時間(それほどは)飽きさせないことは確かです。

カンフーアクション、盗撮、カルト教団、女装、倒錯、純愛、緊縛、流血、脱出劇。
いろんな映画的要素があって脚本の密度は高いし、
何より役者が素晴らしい!!

主役ユウの西島隆弘、ヒロインの満島ひかり、
どちらも初めて観ましたが、 はまり役だし演技も上手い。
さらに、もう一人の主役級、妖しい新興宗教の幹部役を演じる
安藤サクラ(奥田瑛二と安藤和津の娘!)の存在感もすごかった。


4時間見終わって、いっぱい詰め込まれたテーマの中で、
印象に残ったのは 「男の純情」


きっとこれは、セイシュンから遠く離れ、
なおかつ心のしっぽで「男の純情」を懐かしむ、
中高年オヤジの心に刺さる映画なんじゃないかと思う。


映画評論家・町山智浩さんやライムスター・宇多丸さんが
絶賛していた理由に、納得。(・・・失礼!)

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あけましておめでとうございます。

あけましておめでとうございます。


われわれの商売は「休み明け=〆切」となりがち。
今年は休み明けが早いので、今日から仕事始めです。
本年も、よろしくお願いいたします。


さて、写真は、今年の初詣、
地元の氏神様・赤坂氷川神社でひいたおみくじです。
なんと、大吉でした!!
ので、お裾分け。

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しかし、「大吉」といっても、
じっくり読むと「手放しの幸運」ではないんですね。

「願望」次第にお蔭を授かり叶うことが多くなる信心せよ
「待人」来らず よき便りあり
「恋愛」苦悩も多いが、神様のお蔭で倖せになります
「縁談」良縁がありますが 信心を怠ると整い難い
「金運」輝かしいお恵みが待っています 色ごとに迷うと凶
「事業」神様の御援助(おたすけ)で栄える
「相場(賭)」一発勝負は身を滅ぼす

・・・つまりは、幸運に奢らず身を謹め、ということ。

精進いたしましょう。

合掌。


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今年読んだ本、観たものBEST5

なんと4カ月のご無沙汰になってしまいました。
考えすぎると更新できない悪循環。
来年こそは! 見直しましょう。

さて、今年最後の更新は
今年私が読んだ本、観た展覧会、映画、演劇のBEST5。
本来はBEST10といきたいところですが、
いかんせん、母数が少ないジャンルあり、偏ってしまったジャンルあり。
おのおの自信をもって「よかった!」 といえる5本に絞ろうと思います。


まずは書籍から。


1位 誰も知らない 世界と日本のまちがい 自由と国家と資本主義松岡正剛
2位 日本美術の歴史辻惟雄
3位 フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略クリス・アンダーソン
4位 住宅政策のどこが問題か (光文社新書)平山洋介
5位 不透明な時代を見抜く「統計思考力」神永正博


書籍は今年、一番偏ってしまった分野でした。
とはいえ、ベストを挙げると個人的興味が明白ですね・・・。
中には、今年刊行されたのではない本も混じってます。

今年は、嬉しいことに、私の仲間から著者をたくさん輩出しました!!
来年は、彼らの本も順次ご紹介していきたいと思います。


続いて、展覧会。

1位 ネオテニー・ジャパン 高橋コレクション展(上野の森美術館)
2位 ステッチ・バイ・ステッチ 針と糸で描くわたし(東京都庭園美術館) 
3位 光 松本陽子/野口里佳(国立新美術館)
4位 坂倉準三展 パナソニック汐留ミュージアム&神奈川県立近代美術館 鎌倉
5位 越後妻有アートトリエンナーレ 大地の芸術祭2009


やっぱりアートはコンテンポラリーが楽しい! と実感した年でした。
秋からは、「都心に住む by SUUMO」で連載「アートになった東京」も開始。
来年は、もっとアートについて書きたい! と思っています。


続いて、映画から。

1位 クリーンオリヴィエ・アサイヤス
2位 スラムドッグ$ミリオネア ダニー・ボイル
3位 ザ・ローリングストーンズ シャイン・ア・ライトマーティン・スコセッシ
4位 マイケル・ジャクソン THIS IS IT]ケニー・オルテガ
5位 アンヴィル!夢を諦めきれない男たちサーシャ・ガバシ


今年はなぜか、音楽映画が豊作でしたね。

クリント・イーストウッド「チェンジリング」もよかったけど、
「グラン・トリノ」が未見なので、とりあえず外しておきました。
ほか、見逃している「レスラー」「戦場でワルツを」
「カティンの森」「愛のむきだし」も要チェックだと思ってます!!


最後は、お芝居。

1位 「ザ・ダイバー」野田英樹@東京芸術劇場
2位 「桜姫」大竹しのぶ版@Bunkamura シアターコクーン
3位 「マクベス」無名塾@能登演劇堂
4位 「桜姫」コクーン歌舞伎版@Bunkamura シアターコクーン
5位 {コーラスライン」@Bunkamura オーチャードホール


今年、お芝居はちょっと少なめでした。
歌舞伎も観たけど、ベスト5入りはならず。
来年はもう少し観たい!!



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「人は変われるものだと信じている」--映画『クリーン』(ネタバレあり)

久しぶりに、「また観たいな」と思える映画に出会いました。

マギー・チャン主演 『クリーン』

ヘロイン中毒の歌手が、一人息子とともに生きるため、再生の道を探る物語。

と、

書いてみて気がつきましたが、最近話題の某事件と似てますね。。。


でも、映画を見ている間は、まったく重なることはありませんでした。


マギー演じるヒロイン・エミリーは、かつてパリで人気を博したこともあるらしい歌手。
しかし、その頃から薬物中毒から抜けられず、
有名ロックスターの夫・リーをも巻き込んでしまいます。
そのうえ、二人の間に生まれた息子ジェイはリーの両親に預けっぱなし。
はっきり言ってダメダメで、しかも高慢ちきな女なんです。


物語は、落ち目のリーがエミリーと喧嘩した挙げ句、
オーバードーズで亡くなってしまうところから始まります。
周囲の人はみな、エミリーがリーをダメにし、死なせたと思う。
リーの両親、とくに義母は、ジェイにも「ママがパパを殺した」と教えるほど。


けれども、ニック・ノルティ演じる義父アルブレヒトは、
立ち直るため奮闘するエミリーの姿に、徐々に心を開いていきます。


物語終盤には、いやがるジェイをエミリーのもとに連れて行く。
そこでアルブレヒトがエミリーに語るのが表題の台詞。


「人は変われるものだと信じている」


この台詞もいいですが、このあとに出てくる台詞がさらにいい。


ジェイと暮らすため、一度は歌手の夢をおさえ、
デパートで売り子として働くと決めたエミリーでしたが
結局、オーディションのため海外に渡ることを選びます。ジェイを連れて。

アルブレヒトが、自分の目を盗んで旅立とうとしたふたりを見付け、
エミリーに真意を質したあとに発する、意外な台詞。


「困難なときに大きな決断をするのは難しいことだ。
 それでこそ君だ。祝福するよ」


アルブレヒト自身も、まもなく訪れる妻の死を前に、
「困難なとき」に立ち向かおうとしています。


「支え合おう」という言葉に説得力があり、深く、やさしい。

とてもストレートな「再生」のストーリー。
勇気をもらえる映画です。


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21世紀型再開発の先行例、豊洲

まだ開発は完了していないけれど、
豊洲は21世紀型再開発のテストケースといえます。

特に、ゆりかもめ豊洲駅の北側にあたる
江東区豊洲2丁目・3丁目。

特徴は、
まず第一に、複合機能都市だということ。

20世紀型、というか昭和型の都市開発は、基本的に単機能でした。
住宅地は住宅地、商業地は商業地、オフィス街はオフィス街。
「ベッドタウン」と呼ばれた団地群が典型です。
今となっては、「都市の限界集落」なんて呼ばれていたりする。
オフィスがないから人は出て行くし、商業がないから訪れる人もいない。

その反省もあってか、
豊洲では、晴海通り沿いがオフィス、
運河沿いが商業地、住宅地、文教地区と
さまざまな機能を計画的に振り分けています。

そのため、第二の特徴として、
官民一体で開発に取り組んできました。

計画時には「まちづくり協議会」でデザインルールを決め
遊歩道の一部は、沿道のマンションやオフィスが共同で提供しています。
オフィスビルも、道路面は一般開放してカフェや企業史料館を設けている。
多彩な機能を持つと同時に「街全体の一体感」の実現をも目指しています。


では、なぜ豊洲ではこんな大々的な面開発が可能だったのか?


「埋め立て地だからでしょ」では片付けられません。


同じ埋め立て地でも、豊洲は有明や台場、青海などの
「埋め立てたて」(といっても'70年代にはすでにあった)の街とは違い、
昭和初期にはすでに完成し、機能していました。

すでにひとつの役割を終えて、次の役割に移行しつつある街、
それが豊洲。

そこで、次からは
「豊洲では、なぜこんな開発が可能だったのか?」を
解き明かしたいと思います。


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東京は、湾岸へ?

・・・クエスチョンマークを付けてはいけないかもしれないけれど(笑)。

梅雨の最中、お天気と格闘しながら撮影した特集が
先週ようやく日の目を見ました。

リクルート「都心に住む」2009年10月号、「東京は、湾岸へ」

今回はリニューアルと重なったおかげで、
地下鉄に中吊りも出ました。

自分のつくった記事が、中吊りに載るのは何年ぶりだろ・・・
(住宅誌で中吊りまで出すのは、近年かなりレア)

やっぱり、嬉しいものですね。


月刊誌のペースだと、店頭に並ぶ頃には
つくったときのことはすでに遠い記憶。

しかし、春先の講談社「セオリー」に続いて、
湾岸(とくに豊洲)にはずいぶん通いました。

再度の取材を通して、
「街はいかにして成り立つか」について学んだことも。

文献をあたって仮説をたてたつもりでも、
実際に人に話を聞いて初めてわかることもあり
改めて、取材の醍醐味を感じる日々でした。

忘れないうちに、書いておかなければ。

というか、早いうちに思い出して(すでに忘れかけ)
整理したいと思います。

(この項続く)

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