現代美術入門に最適! フレンチ・ウィンドウ展@森美術館

オノ・ヨーコさんの講演に行ったとき
森美術館の「フレンチ・ウィンドウ展」の招待券をもらったので、
昨日の雨の中、出掛けてきました。2度目です。

展覧会の副題は「デュシャン賞にみるフランス現代美術の最前線」。
デュシャン賞とは、フランスのコレクター団体「ADIAF」が主催する、
現代アートの賞のこと。
マルセル・デュシャン本人の作品を皮切りに、
同賞の受賞作家を紹介するという趣旨です。

展覧会タイトルの「フレンチ・ウィンドウ」は、フランス窓をモチーフにした、
デュシャンの代表作「フレッシュ・ウィドウ」に掛けたもの。
さらに、フランスの強者コレクターたちが切り取った窓を通して、
現代アートを展望しようという意味が掛けられています。
とても粋なタイトルだけど、集客力、という点では「?」かも…(笑)。

展示中のコピーにもありますが、
マルセル・デュシャンの作品群には、現代アートのあらゆるテーマが含まれている。
その名を冠した賞の受賞作群もまた、幅広いテーマを網羅するものになっています。

さらに、ひとつひとつの作品にとても丁寧な解説が付けられていますから、
「現代アートはわからない」という人の入門にも最適。

森美術館の広い展示室を生かした、ゆったりした展示で、気持ちよく鑑賞できます。

会期は8月28日(日曜)まで。

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オノ・ヨーコさんの言葉

昨日、森美術館主宰のMAMアートコース最終回の
オノ・ヨーコさんの講演を聴いてきました。タイトルは「希望の路」

10月16日まで広島市現代美術館で行われている、第8回広島賞受賞記念展
リンクしての講演です。

当初は「長崎への路」というタイトルで計画していたというこの企画、
3・11の震災を受けて、「希望の路」に変更したそうです。

講演は、展覧会の紹介もそこそこに、
過半の時間が会場の参加者との質疑応答に費やされました。

オノ・ヨーコさんと直接言葉を交わす、というまたとない機会に、
興奮と緊張で言葉が上滑り気味の質問者も少なくない中、
それぞれの意をすくいあげて、即座に、真摯に、やさしく
的確な言葉を返していくヨーコさん。

質疑の中で、ヨーコさん自身が「言葉の力がいかに強いか」を語っていましたが
その繰り出す言葉は、どれもとてもシンプルで力強くて、
勇気を与えてくれるものばかりでした。

耳を傾けるのに夢中でメモをとらなかったので、正確な文言ではありませんが
私の心に残ったヨーコさんの言葉を、私なりに整理して以下に紹介したいと思います。

(3・11後、何をすればいいかわからない、という質問者たちに)
「あなたの世界で、精一杯、あなたができることをすればいい。
私たちにはそれしかできないし、それだけでいい」
「あなたが自分らしくあろうと努力するだけで、まわりにいい影響を与えることができる」
「海面に小さな石をひとつ投げるだけで、世界の海を変えられる」

(原発推進派やシニカルな傍観者などを説得したい、という質問者たちに)
「人を説得するには事実しかありません。事実が人の考えを変えていくでしょう」
「意見の異なる人を言葉で説得するのは難しい。
それよりも、あなたが信念に沿って行動すれば
その態度を見て、相手が影響を受けることでしょう」

「(ジョンとの)“ベッドイン”のとき、すぐにも世界が平和になると思ったけれど、
そうはならなかった。 時間はかかります。
でも、広島に原爆が落とされた直後、広島が今のようなすばらしい街になるとは
 誰も思っていなかったはず。 だから、未来は開かれているのです」

(ヨーコさんの作品を見て感動した、という質問者に)
「その感動はあなたがつくったものです。 Audience Participation.
私は少し扉を開いたけれど、その先に路をつくったのはあなたです。
その感動は、あなたと私がつくったものなのです」

それにしてもヨーコさん、声に張りがあって、姿が凜として、
なんともいえずカッコよかった!
思わず生まれ年を確認したら、なんと私の母と同年生まれ(78歳)でした!
同じ女性として、こんなふうに年を取りたい、
というお手本を見付けました。

【余談】
ヨーコさんの言葉以外にも、感じ入ったできごとがひとつありました。
会場では、ヨーコさんに質問したいと希望者が列をなしましたが、時間は限られています。
しかし、司会者が「質問はあとお二人まで」と声をかけても、
誰も列から離れようとはしません。
そこで、森美術館館長の南條史生さんは
「列に残っている方たちで勝ち抜きじゃんけんをしてください」と誘導。
みんなが納得して気持ちよく引き下がることができる、みごとな機転だと思いました。

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アトリエ・天工人「土プロジェクト第1弾」

山下保博さん率いるアトリエ・天工人の「土プロジェクト」。
土を、食品添加物にも指定されている酸化マグネシウムで固めてブロックにし、
積み上げてつくる組積造の建築物です。

元来、建築とはその土地にある材料を使ってつくるものでした。
たとえば、サン・フランチェスコ聖堂で有名なイタリアの都市アッシジは、
街全体が淡いピンク色をしています。
これは、この近辺で産する石がピンク色だからだそうです。

「土プロジェクト第一弾」住宅は、私にアッシジの街を思い起こさせました。
おそらくは構造の必然性もあって、開口の少ない建物は、ロマネスクの小さな聖堂のようです。

土は世界中にあるものだから、どこででもその場の材料でつくれる。
そこにある材料でつくれば経済的で、環境負荷が小さいことは言うまでもなく、
そんな建物が並べば、必然的に美しい街並みができあがるわけです。


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外観。かなり小さい印象です。
平面形状は勾玉のかたち。表に現れる部分はほとんど曲面だけの建物です。

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延べ床面積はほんの41㎡ほどですが、天井が高く、思いの外広く感じます。
空間に角や直線がないことも、広がりを感じるゆえんかもしれません。

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キッチンの裏側に、ロフトへ上る階段があります。
曲面の壁に沿って上る感覚も、なんとなく宗教施設を思わせます。

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ロフトから見下ろすとこんな感じ。スリット状の窓も聖堂っぽいですね。

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壁と屋根をつなぐ部分にはガラスブロックが入っています。照明もとても効果的。

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納谷建築設計事務所「岡本の住宅」

7月14日、納谷学さん、納谷新さん設計の「岡本の住宅​」のオープンハウスを見学しました。
これまた世田谷とは​思えない景観! 
コンパクトな建物の中に変化のある空間​が展開する住宅です。

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南側から見上げたところ。黒っぽい木の箱状の建物です。

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敷地は旗竿状。道路側からは全景を見ることはできません。

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このパノラマ! 
天地を抑えて水平ラインを強調した開口部が景観を効果的に見せてくれます。

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壁と天井は、木の質感を生かしつつ、白っぽいペイントを施されたシナ合板。

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床に座って見上げると、窓の外は空!

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写真右側に見える丸い穴は……

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ドアを開いたとき、ノブがすっぽり収まる。ドアは完全に全開できるわけです。

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1階のプライベートゾーンは全部畳のお部屋。最近珍しいですね。

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作り付け収納の間を少し空けてあるのは、「床の間」のようにしつらえるため。

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眺めのいい角の和室の開口は、かなり低め。障子は雪見になっています。

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障子を閉めるとしっとりした雰囲気。
どの部屋も、間接照明が効果的に使われています。

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和室の外の濡れ縁。軒をかなり抑えています。

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階段室は図書スペースになっています。ランダムな棚板がグラフィカルで楽しい。

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階段室の上にはトップライト。

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2階から見下ろす。

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FRP防水でくるんだバスルーム。2階なのに浴槽が埋め込みになっているのは、
1階の軒を抑えた分のふところを利用しているから。

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白とガラスのバスルームは清潔感あります。
FRP防水は目地がないので掃除もしやすそうです。

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砧公園のご近所というのもいいですね。

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田井幹夫さん設計「等々力の筒状住居」

6月19日、アーキテクト・カフェ、田井幹夫さん設計の​住宅のオープンハウスに行ってきました。
ごくシンプ​ルな構成ですが、立地も含め視線の「抜け」がとても気持ち​のいい住宅です。
取材帰りに寄らせていただいたので、撮影はiPhone。

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道路側外観。閑静な住宅街の奥まった場所にあります。

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玄関を入ると、長い廊下を貫いて、向こう側の緑まで視線が​抜けます。

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螺旋階段を上がると、目の前がぱっと開けて、天井の高い​LDK空間に出ます。
正面の全面開口からは、道路側外観​からは想像できないような眺望が広がります。

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このあたりは傾斜地になっているんですね。木造住宅の2​階とは思えない眺め。

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窓側からの見返し。天井高は4mあるそうです。

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ロフトから2階を見下ろしたところ。

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1階浴室もガラス貼りで、リゾートホテルみたいです。

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屋上も広々。いろいろ遊べそうですね。
高所恐怖症の人は​怖いんじゃないかと思うほどの景観です。


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「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」@東京国立近代美術館

GWから8月8日にかけて東京国立近代美術館で行われた
「建築はどこにあるの? 7つのインスタレーション」
写真撮影可という画期的な展覧会でした。
はなはだ遅ればせながら、写真をアップします。

中村竜治 《とうもろこし畑》 
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菊地宏 《ある部屋の一日》
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アトリエ・ワン 《まちあわせ》
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伊東豊雄 《うちのうちのうち》
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DOMANI・明日展2009@国立新美術館

例によって会期終了ぎりぎりに、
国立新美術館「未来を担う美術家たち-DOMANI・明日展2009」に行ってきました。
タイトルから推して、若手作家ばかりかと思えばそうでもない。

HPには出品作家12名全員の名前は載っていないようなので、
ここに挙げておきましょう。

タピストリー・ワークの久保田繁雄
美術史出身の画家・吉仲正直
漆造形で異文化を融合させる栗本夏樹
天井の高い空間を生かしてインスタレーションを展開した吉田暁子
油彩表現で繊細な触覚を呼び覚ます伊庭靖子
都市を俯瞰し、変容させる写真家・安田佐智種
植物的なフォルムと鮮やかな色彩と独特の質感の彫刻・礒崎真理子
自らのアイデンティティを問い続ける呉亜沙
廃材やテラコッタで「想い出」を具象化する彫刻家・高野浩子
ビデオ&インスタレーションの三田村光土里
陶でレリーフをつくる彫刻家・藤原彩人
日本画の手法で樹木を抽象的に描く浅見貴子


結論からいえば、期待以上におもしろい展覧会でした。
出展作品はさほど多くないのに、ついつい長居してしまった。

作家紹介を主眼にしているだけに、
個々の作家の経歴が掲出されており、
なおかつ、ほとんどの作家が自ら作品に説明を加えています。

とくにコンテンポラリーは、
作家のバックグラウンドや制作意図を知って見れば興が増します。
何よりそこが、この展覧会が面白かったポイントかも。

12人、1ブースずつという展示も、一度に消化しやすくちょうどよかった。


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NO MAN'S LAND@フランス大使館

取り壊しを前にしたフランス大使館の旧庁舎で行われている
アートイベント、「NO MAN'S LAND」に行ってきました。
職員が退去したあとの庁舎を舞台に、
日本とフランス、ほか各国のアーティストが
作品を展示するインスタレーションです。

直島「家プロジェクト」でも妻有アートトリエンナーレでも、
「廃屋を舞台にしたサイト・スペシフィック・アート」は
すでにお馴染みなので、手法に新味はないけれど、
ふだん入れない「大使館」の奥まで入れるのがミソ。
機密の通信に使われていたという、巨大な金庫みたいな部屋も
アートになって公開されています。

1957年に竣工した庁舎は、傾斜地を生かしたコートハウス風のモダンな建物。
設計は、高級官僚出身の若き建築家、ジョゼフ・ベルモンです。

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ここがエントランス。階段の上に中庭が見えます。

内部は、廊下に沿って小さな部屋がずらーっと並ぶ構成。
大勢が机を並べられるような大部屋はありません。
さすが個人主義で知られるフランス人、
みんな個室で働いていたのだろうか・・・。

新しい庁舎の間取りも気になるところです。

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こちらが旧庁舎に隣接する新しい庁舎。

旧庁舎跡地には、野村不動産がマンション建てて分譲するようです・・・。


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内藤礼展@神奈川県立近代美術館 鎌倉

「すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」

これが展覧会のタイトル。

どーもこなれない日本語だなあ、と思っていたら、
ジョルジュ・バタイユの『宗教の理論』の一節だそうです。
フランス語の原文はいたって簡単。

「Tout animal est dans le monde comme de l’ eau à l’ intérieur de l’ eau.」

私だったらこう訳します。

「すべての動物は、水が水の中にあるように、世界の中に存在している」


それはさておき。


作品はすばらしかった!!


会期が1月24日までなので、覚悟を決めて、連休中日の鎌倉に、朝から出掛けてきました。
案の定、若宮大路も小町通りも大混雑。鶴岡八幡宮の参拝も行列です。

八幡様へのご挨拶は失礼し、一の鳥居の前で「回れ右」!
展示会場に直行した後は、お昼も食べずに東京へとって返しました。
鎌倉滞在時間と往復時間はほぼ同じぐらい。


それでも、観てよかった。


坂倉準三の傑作建築を舞台に展開する、繊細な繊細なインスタレーション。


2階展示室のほの暗い空間の中に、点々と灯る小さな明かり、
ガラスケースの内外を、ゆらゆら漂う白い風船。
鑑賞者は、ふだん入ることのない、ガラスケースの中にも立ち入ることができます。


八幡様の源平池に面した1階では、
その日そのときの空と風、水面のゆらぎまでが作品の一部。


作品の一部は、家まで持ち帰れます。


2階展示室に積み上げられた、直径78ミリの丸い紙。
タイトルは「恩寵」。


上から一枚、そっとつまみあげると、
ただの薄紙かと思われた、その真ん中に、小さな小さな文字が、赤いインクで印刷されています。

じっと目を凝らしてみても、そのままでは読めない。

裏返して、透かしてみてわかる、鏡像の文字でした。


ひらがな3文字。


そこになんと書いてあったのか。

ぜひ現地に行ってみてくださいませ。


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同世代が語る戦争ー「戦場でワルツを」

イスラエル映画、「戦場でワルツを」

監督アリ・フォルマン自身の「レバノン侵攻」出征体験に基づいて
アニメーションで描かれたドキュメンタリーです。

日本では、
「おくりびと」(←見てない)とアカデミー外国語映画賞を争った、
ということで話題になりました。


私はどうも「アニメーション」が苦手で、これまで避けていたのですが

「やっぱり、観よう」という気持ちになったのは

この映画が、私にはまったく未知の
「中東戦争におけるイスラエル人の立場」が一人称で描かれている、
と聞いたからです。


第2次世界大戦やベトナム戦争を描いた映画はいくらもあるけれど
現在まで間断なく続く中東戦争を描いた映画は観たことがない。


複雑きわまる中東紛争の一端でも、
知ることができるのでは、と思いました。


けれども、

映画が語るのは、

「イスラエル人」の立場なんかじゃない。

否応なく戦争に放り込まれた

「個人」の心の過酷な彷徨です。


フォルマン監督は言います。


これは「ベトナムやイラクから帰還したアメリカ兵や、
アフガニスタンから戻ったロシア兵でも描ける映画」だと。


観終わって、何より私の心に刺さったのは、


アウシュビッツから生還した両親の元に生まれ、

自らは兵卒として戦場に赴いたフォルマン監督が、

なんと私と同年生まれだった・・・ということでした。


同世代が語る戦争体験。


戦争は、「歴史」の中だけにあるわけじゃない。
今更ながら、そんなことを実感しました。


ドキュメンタリーではあるけれど、
語られる内容のほとんどが「記憶」であるゆえに、
「アニメーション」表現はぴったりです。


リアルと幻想の狭間を漂う映像は美しく、
しかも観るものを飽きさせないエンターテイメントに仕上がっています。

去年観てたら「第1位」でした。
シネスイッチ銀座では15日まで。


おすすめです。


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«園子温監督「愛のむきだし」