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2005年12月のお仕事

今年も、いよいよ最後の一日ですね。
昨日まで友人たちと「年末の盛り上がりに欠けるなあ」などと言い合っていたのですが
さすがに大晦日ともなると、なんとなく胸にしんとくる思いがあります。

締めくくりの月の初めには、ムックが出ました。

家づくりの本Vol.4

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私は巻末の「環境にやさしく、住む人に快適な家づくり」を書いています。
取材したのは夏でした。

この記事に始まって、今年はこのあと何度か、
環境共生や省エネルギーについて取材しました。

正直言って、私自身は日頃あまり省エネを意識しているとはいえません。
よく電気消し忘れるし。
でも、取材を続けているうちに、関心を持たざるをえなくなってきました。
取材者としても。一生活者としても。

恒例の日経住宅サーチ「年末年始特集」
~住まいづくりの新潮流2006~でも、引き続き環境問題を追っています。


今年の流行語ともなった「LOHAS」にかけて、
「ひと・環境計画」の濱田ゆかりさん、武蔵工業大学教授の岩村和夫さんに取材しました。
中身は「LOHAS」という言葉が指すより、ちょっとまじめに、
Health & Sustainability の方向性、展望についてまとめています。
とくに岩村さんの記事では、今後の住宅性能評価の方向についてもご教唆いただきました。

「知る・学ぶ」のタブからリンクをたどれます。
ぜひご一読ください。

来年も、最初の取材はエコ関係になりそうです。
もっと掘り下げ、追いかけていきたいテーマです。


さて、日経アーキテクチュア12月12日号では、
本誌同梱の別冊「商空間デザイン」にて「春秋 ツギハギ」を取材。
かのスーパーポテト杉本貴志さんにインタビューするという
貴重な機会をいただきました。

杉本さんは、私のような無知な取材者に対しても、とてもオープンマインド。
おそらく、相手が誰であっても、態度が変わることはないのでは、と推察します。

質問のいとまもないほど饒舌で、話題は時空を超えて(ホントに)広がっていきました。


これまでアーティストやデザイナー、建築家たちを取材してきて
つくづく思うのは、才能あるクリエーターは、
それぞれ独自の「歴史観」を持っている、ということです。

歴史の流れを見据え、その中に自らを位置づけて未来を創造する。
だからこそ「クリエーター」たりえるのですね。


今年は、「日経アーキテクチュア」のおかげで、
住宅以外の、商業施設や学校建築を取材する機会にも恵まれました。

また、学校建築といえば、「打瀬小学校」や「博多小学校」などの設計で知られる
シーラカンスK&Hの工藤和美さんにもお目にかかれましたし、
日経住宅サーチ「クリエーターたちの挑戦」12月にご登場いただいた
インテリアデザイナー・五十嵐久枝さんも、学校施設のお仕事について語ってくださいました。

子供のいない私には、もはや「学校」など縁遠い施設と思っていましたが、
子供の成長過程と空間、地域社会と学校、教育システムと建築の関係など、
興味深いテーマがたくさん秘められていることに、改めて気付かされました。


扶桑社「新しい住まいの設計」はすでに2006年2月号という表示。
テーマは「都市型 VS 郊外型」です。
今号から、実例のレイアウトが変わり、かなりシャープな誌面になりました。

私は「都市型」すがアトリエ菅正太郎さん設計の事例を取材。
一個のオブジェのような、美しい建物です。
ただ、住み手覚悟の上とはいいながら、冬は寒いだろうな~~。


今月からは、建築家向けサイト「PF1」が運営するブログ
建築雑誌オールレビューにも参加しています。

いつもお世話になっている「日経アーキテクチュア」をはじめ、
建築誌・住宅誌の記事を5段階評価しつつレビューするという、
私にとっては誠に天に唾するような作業……。
毎回どきどきしながら原稿を提出しています。

思えば、ひとがつくった記事をきちんと読み込み、考えるということを
ずいぶんしていなかったような気がする。

自分自身の仕事について振り返るためにも、
とてもいい機会を与えられたと思っています。


今年も約60人(途中から数え切れなくなった)に及ぶ
建築家・デザイナー・アーティストに出会いました。
また、35組の家族を訪ね、その新居を紹介させていただきました。

取材に応じてくださった方たちそれぞれの思いが
記事を通して、少しでも多くの人に届いたことを祈ります。

また、私自身も、このたくさんの出会いをただの一期一会に終わらせず、
より大きなものに育てていきたい、と強く願っています。


よいお年を。

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2005年11月のお仕事

……なんとか今年のうちに今年の回顧を終えられそうです。

11月は日経アーキテクチュア11月28日号から。

「CLOSE UP広場」にて、「COREDO日本橋」
公開空地リニューアルを取材しました。

10月に引き続き、オンサイト計画設計事務所の長谷川浩己さんの設計です。

東京R不動産セントラルイースト東京などのお仕事で、かねがね注目していた
オープン・エーの馬場正尊さんもご一緒でした。

「都市再生」のムーヴメントは着実に広がっているようで、
私としても楽しみに注目していきたいと思っています。


日経住宅サーチ「クリエーターたちの挑戦」では
日本画家、山本直彰さんのアトリエを訪ねました。

「自然が自ら生み出す力を画面に留める」という山本さんの狙いは、
ジャクソン・ポロックのオートマティズムを思い起こさせます。

でも、手法より何より、できあがった墨絵のような迫力のある画面が圧倒的。
ひと目で魅せられ、インタビューに押しかけた私です。

こう言っては叱られそうですが、山本さんご本人も、
シャイでシニカルな「古きよき芸術家」像を絵に描いたような方でした。


扶桑社「新しい住まいの設計」1月号は、「モノがあるのに…片付く家」 
やっぱり「収納」は永遠のテーマなのか。

Smart Running小泉一斉さんと千葉万由子さんが設計したご両親の家
アトリエ・天工人の坂元邸を取材。

どちらも、もちろん収納もいいけれど、
それよりユニークな発想のプランに注目してほしい住宅です

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2005年10月のお仕事

やっと10月までたどりつきました…
夏場に近畿・東海を走り回った成果がコレです↓

行列のできる建築家名鑑 (2006年版)

扶桑社


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全部で51人の建築家の素顔と実例が網羅されております。
いい本に仕上がっていると思います。

私は9人分書かせていただきました。
タイヘンだったけれども、
住宅だけでなく、建築家の「人となり」を探る取材は楽しかった!

設計に対する思いはもちろんのこと、
クライアントへの接し方、図面の描き方、模型のつくり方、現場との関わり方など
それぞれに独自のスタイルがあるのですね。

打ち合わせし、企画し、実現する、という流れは
建築に限らず、多くの仕事に共通するものです。
そこに確固たる「自分のスタイル」をうち立てた人は強い。

先日、ある建築家が雑誌の寄稿を依頼されて
「設計の手法を応用して取材し原稿を書いた」と言っていましたが、
一度「自分のスタイル」ができれば、あらゆることに応用が利くんですね。

そういえば、
建築家にしてロボットデザイナーの松井龍哉さんにインタビューしたときも
「設計と同じ方法論でバレエの振り付けもできました」と聞いて感激したっけ。

「建築家の仕事術」なんて企画は、いかがでしょーか。


日経アーキテクチュア10月17日号では
特集「平成クライアント列伝」のうち、
星野リゾート社長の星野佳路さんと、立教大学の記事を書きました。
これに併せて「CLOSE UP建築」の「星のや 軽井沢」も取材。

「星のや 軽井沢」は建築・東利恵さん(東 環境・建築研究所)、
ランドスケープ・長谷川浩己さん(オンサイト計画設計事務所)による温泉旅館。
建物もランドスケープも一体として、ひとつの世界をつくりあげようという
今までありそうでなかった試みです。

私は役得で泊めていただきましたが、
温泉好きの日本人としては、露天ぶろまで遠い(敷地外にある)のが難点か。

24時間ルームサービスが受けられる滞在型の旅館、というコンセプト、
ごろりと寝そべることができる、和風のくつろぎソファにはとても共感するけれど
いかんせん私の懐で自腹は厳しいです…

小堺一機似(失礼!)の星野社長は、
その小柄な全身からパワフルなオーラを放つ方です。

受け答えは素早く鋭く、こちらもいい加減な質問は許されない雰囲気。
近頃かなり図太くなった私も、ひさびざに緊張しっぱなしのインタビューでした。


日経住宅サーチの連載「クリエーターたちの挑戦」は
メディア・アートの旗手(と言われると、ご本人は不本意かも…)前林明次さんにご登場いただきました。

これまでの作品は主に「聴覚」がテーマになっています。
視覚によりかかって生きていると自覚する私としては、あまり自信のない領域です。
だからこそ、興味があるわけですが。

今後はもっと幅広く人間の知覚を捉えていかれるよう。
もしかすると、人間の「進化」を目指しているのかもしれません。


扶桑社「新しい住まいの設計」12月号は、
出ました「完全無欠のローコストハウス」! やっぱり売れるみたいです。

一軒はオープンハウスでも拝見したPRIME田辺芳生さんの久が原の家。
オープンハウス時とほとんど変わらぬすっきりした暮らしぶりに驚かされました。

もう一軒は日比生寛史さん設計の世田谷の家。
こちらは、建築家のつくった箱を、みごとにアレンジして暮らす手腕がすばらしい。

それぞれ、建築もさることながら「住み手」に感心させられた取材でした。

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2005年9月のお仕事

広告関係のお仕事は、記事に署名はもちろんないし、
公に「これ私が書きました」と言挙げしていいものかよくわからないので
ここには書かないわけですが。

私がご注文いただく「広告関係のお仕事」とは雑誌の中でも
「純広」と呼ばれる、簡単に言うと「ひと目で広告とわかるもの」ではありません。

雑誌ならば「タイアップ」と呼ばれる「記事風広告」。
ほかに、企業が発行する広報誌やパンフレットに記事を書くこともあります。

できあがった誌面の見た目は、いつもの編集記事のお仕事とそう変わらないのですが、
書くときの気持ちはずいぶん違うし、仕事の進め方も違います。

企業の代弁者になること自体に抵抗は感じません。
私が手がけるのは住宅や設備機器のメーカーさんの広告がほとんどですが、
ものづくりの現場にいる人からは、それぞれ熱意が感じられて、
「この思いを消費者に伝えたい!」という気分になれることがほとんどです。

でも、たま~~に「とりあえずページはおさえてあるけど何入れようか」
なんて広告主もいて、そういうときに限って
こちらの書いたものにもあれこれ注文がつき、ちょっとうんざりします。
「やっぱり、編集の仕事に絞ろうかな…」と思う一瞬です。

愚痴でした。

9月もレギュラーしかないもので。

日経住宅サーチの連載「クリエーターたちの挑戦」は
アーティスト、アラキミドリさんにインタビュー。

実は、アラキさんは私の友人の元同僚。元編集者というアーティストです。
編集者時代から、「同僚にとても才能のある子がいるの」というウワサを
聞いていたのですが、やっぱりアーティストになったのねえ…と感慨もあり。

ご本人はとてもキュートで、その話しぶりからは
「編集者」では納まりきらなかった理由がわかるような
ユニークな個性が伝わってきました。

「元編集者」と思うとつい我が身に引き比べ、
「やっぱりビジュアルのセンスって、才能だよねえ」と考え、
自分のセンスのなさを諦念してしまうのでした(するなよ)。
「作品」としてのページづくり。
私はそんなふうに考えたこと、あったかな。

扶桑社「新しい住まいの設計」11月号は「やっぱり「木の家」が好き!」。

NOV建築工房酒井宣良さんと
広渡建築設計事務所広渡孝一郎さん、早苗さんご夫妻設計の事例を取材。

股旅取材のころですね。

どちらも、ほどよく肩の力が抜けた手練れの作品、という感じです。

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2005年8月のお仕事

世間は仕事納めというのに、ここはまだ夏…。

「8月にした仕事」ではなく「8月に世に出た仕事」をまとめようと思うと
実は思い出すのに骨がおれます。

なぜって、原稿を納めてから媒体に載るまでにタイムラグがあるのに加え、
そのタイムラグの幅が媒体によってまちまちだから。
特に近頃は印刷だけでなく電子媒体の仕事が多いのでなおさらです。

言い訳はさておき。

8月は広告やタイアップの仕事が多く、
ここに書けるのはレギュラーだけになってしまいました。


まず 日経住宅サーチの連載「クリエーターたちの挑戦」は
デザイナー・宮田里枝子さんにインタビュー。

すらりと背の高い宮田さんは、なんと1977年生まれ!
どこかフライトアテンダントを思わせる、すきのない身のこなし、
落ち着いて礼儀正しい言葉遣い……育ちのよさを感じさせます。
つい「とてもいいお嬢さん」という仲人口が頭に浮かんだのは
オバサンになった証拠でしょうか。

しかし彼女は、「素敵なお嬢さん」であるだけではなく
とても論理的、戦略的に自らの仕事を語れる前途有望なデザイナーです。

前回の束芋さんに続き、自分よりはるかに若い女性に圧倒され、
そして嬉しくなったひとときでした。

さて、お馴染み扶桑社「新しい住まいの設計」10月号は「キッチン&バスルーム」。

黒木実さんが設計した、
世田谷なのにほんとにリゾート!! の素敵なお宅を訪問しました。
施主は40歳独身!!のスポーツショップの社長さん。
ご自身で会社を起業なさって、こんな家を建てられるまでに…と思うと
相当のキレ者と拝察しますが、ご本人はのんびりとした語り口の、
気負わない雰囲気の方でした。こういうひとこそ、大物なのでしょう。

もう一軒は、前号でも取材した今野政彦さんのご自邸。
先日「渡辺篤の建もの探訪」にも登場していました。
奥さまの手料理が美味でした!

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2005年7月のお仕事

ついに師走に入ってしまいました。

今年後半の半年分、駆け足で振り返ります。

7月は、東京ビックサイトで「日経住まいのリフォーム博」が開かれました。
これに合わせて日経住宅サーチ - 住宅情報の総合サイトでも特集が組まれ、
私も「リフォーム業界の動向」と、
「テーマ別コラム/リフォームの資金計画、リフォームをめぐるトラブルとその対策」を寄稿しました。

また、取材に協力させていただいた
オレンジページのムック「リフォームの本」も発売になっています。

リフォームの本

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日経BP社発行「日経アーキテクチュア」7月11月号(800号記念!)では
「夫婦で設計事務所を営むということ」と題し、3組の建築家夫妻にインタビュー。
プライベートな部分にも触れる不躾な質問にも、みなさん快く答えていただきました。

女性と仕事の問題、世代間の違いにも思いが及び、
思わず我が身を振り返ってしまう取材でした。

日経住宅サーチの連載「クリエーターたちの挑戦」は
アーティスト・束芋さんのインタビュー。

「美術家になるつもりはなかった」という彼女。
でも、弱冠25歳で母校の教授となり、今や海外でも注目されるアーティストです。

与えられた課題にひとつひとつ真摯に取り組み、
自分のオリジナリティをどこに求めるか論理的に探り出す姿勢は、
どんな職業の人にとっても示唆に富んでいると思います。

私よりずっずっと若く、華奢できれいな女性なのに、
どこか威厳さえ感じさせ、とても怜悧な印象でした。
しかもすごく礼儀正しい。
「今どきの若いひと」にもこんな女性がいるんですね…。

扶桑社「新しい住まいの設計」9月号は「建築家スペシャル」特集で
大型新人(勝手に命名)今野政彦さんと
若き実力者(これも勝手に命名)西田司さん、
そして関西の「夫婦事務所」若手トップランナー(これまた勝手に命名)
岸下真理さん和代さん夫妻の事例と、3軒取材させていただきました。

どの住宅もすばらしかった。
それぞれ、家族のステージがまるで違っているのも印象的でした。

こういう取材で家族のプライバシーに深入りするのは限界があるけれど、
住宅と家族の関係について、
もっと違う角度で掘り下げる機会、方法はないかと考えています。

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