金継ぎ
「きんつぎ」と読みます。
割れたりひびが入ったりした陶磁器を漆で修復し、
その上から金粉で化粧して、あえて傷跡を目立たせる、
日本古来の修復法です。
そこには、不作為の破損によって生じる
新しい「景色」を楽しむという、独特の感性があります。
この手法を用いて、世界各国で建築や日用品を直して歩く、
「修復と再生」というプロジェクトに取り組んでいるアーティストがいます。
もとみやかをるさん。
彼女のワークショップが横浜のBankART1929で開催されるというので、
覗きに行ってきました。
割れ物を持参して自分で金継ぎしてみるという
ワークショップだったのですが、
事前のリサーチ不足と時間不足により、実践はならず。
授業中ゆえ、話ができたのもほんの一言二言だけ。
もとみやさんが「金継ぎ」を知った契機は、
茶道にあったそうです。
傷さえも美に転じる発想。
しかし、ここまでの美学には至らずとも、
かつて日本には、
おのずからリユース・リサイクルの伝統がありました。
鍋が傷んだら鋳掛け(いかけ)、
茶碗が割れたら繕い(つくろい)、
裂けた着物は掛け接ぎ(かけはぎ)・・・。
障子の破れ目に、
桜花や紅葉のかたちに切り抜いた紙を貼り付けたり。
今、そんな伝統を
見直すべき時期にきている気がしてなりません。
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