ダーウィンの悪夢
話題の映画、「ダーウィンの悪夢」を観てきました。
重たいドキュメンタリーなのに、館内はかなりの入り。
単館ロードショーとしては動員数も多いようです。
内容は、
「ダーウィンの箱庭」と呼ばれる生命の宝庫、ヴィクトリア湖に
何者かが放った巨大魚、ナイルバーチが生態系を破壊し、
他方、その漁獲によって
周辺地域は苛烈な資本主義システムに巻き込まれ、
貧富の差の拡大や児童虐待、劣悪なドラッグや売春、
HIVなどの問題が蔓延している・・・・というもの。
現地のさまざまな立場の人々が語る、
一人称の、生の言葉をつないで構成されており、
ときどき、補足のために2,3行の字幕が差し挟まれる以外は
第3者が余計な解説を加えることはありません。
誰がナイルバーチを放ち、誰がその輸出を仕組んだのか、
探ったり糾弾したりすることもない。
でも、その映像は淡々としつつ凄まじい。
矛盾する表現のようですが、観た人ならばわかるはず。
いったいどうやって撮ったんだろう、
どうやってここまで入りこんだんだろう・・・。
グローバリゼーションの善悪を、軽々に論じることはできません。
この映画のメッセージも、一面的ではない。
ただ、私自身が知らないうちに、でも確かに関わっている、
生々しい現実が、目の前にどさりと重く、放り投げられたようでした。
「12・映画&お芝居」カテゴリの記事
- 映画「未来をなぞる 写真家・畠山直哉」(2015.07.03)
- 映画「だれも知らない建築のはなし」(2015.04.16)
- 同世代が語る戦争ー「戦場でワルツを」(2010.01.09)
- 園子温監督「愛のむきだし」(2010.01.03)
- 「人は変われるものだと信じている」--映画『クリーン』(ネタバレあり)(2009.09.22)
The comments to this entry are closed.
Comments