先週末の不動産関連の大きな話題といえば、地価公示。
全国の平均値が、住宅地・商業地ともに16年ぶりに上昇しました。
「1991年以来」ってことは、
まさしくバブル崩壊以来の値上がりなわけです。
とはいえ、これはあくまで「全国平均」のおはなし。
東京都の地価(全用途平均)と三大都市圏の商業地は
すでに去年から上昇に転じていますし、
他方で、
「全国の調査地点のうち住宅地、商業地ともに5割超が下落」
「地方圏では8割超が下落」(asahi.comによる)という現実も。
住宅新報の分析によれば、今年の公示地価の特徴は
「上昇地点の急増」と「上昇率の大幅アップ」とか。
たとえば、上昇率全国一の住宅地、東京・南青山は、
去年28.8%、今年はなんと45.5%!
商業地の上昇率ナンバーワンは、
昨年が名古屋駅前の38.0%(今年は2位・45.1%)
だったのに対し、
今年は東京・神宮前で、こちらも青山同様45.5%。
この急上昇ぶりに対し、読売新聞社説(3月23日付け)は
「大都市の地価上昇は警戒段階に入ったのではないか」と
警鐘を鳴らしています。
「NIKKEI NET」記事によれば、
土地鑑定委員会の鎌田薫委員長は
「評価の過程で収拾した事例を見ると、地価上昇の著しい地域で、
通常の利便性・収益性などでは合理性を説明できない
価格形成がなされたと推察されるものも散見された」と指摘。
要するに、バブルの懸念ありということ。
しかし、国土交通省は
「バブル経済時とは異なり、上昇率の高い地点の周辺まで
一斉に上がってはいない」と否定的な分析(Sankei Webによる)
をしているそうですし
大田弘子経済財政担当大臣も、
「ただちにバブルとの見方は出来ない」(ロイターによる)
と語っています。
確かに、バブル期と今とでは、
地価の決まり方そのものが違いますし、
いかに上がったといっても、地価水準に目を向ければ
東京都心部の住宅地でバブル以前の1984年並み、
商業地では1980年頃並み。
しかも、急騰した地点はきわめて限られています。
(上昇率40%以上は3万地点中15地点)
先の住宅新報記事などは、
「地価はすでに頭打ちか?」という見出しを掲げています。
大手不動産会社の実務担当者は、ほぼ一致して
「東京都区部の値上がりはそろそろ収束」と見ているそう。
ほか、Jリートの物件取得額が昨年後半急減していること、
法務省統計による東京都の土地所有権移転登記件数が減少傾向にあること、
国内銀行の不動産業向け貸し出し残高が横ばいに転じていること、
などの指標を挙げて
「大都市圏での実態価格はそろそろ頭打ち」と結論づけます。
で、一般庶民としましては
「地価急騰を小耳に挟んだからといって、あたふたしない」
のが正しい姿勢、といえそうですね。