六本木クロッシング2007@森美術館
日本のコンテンポラリー・アートの、歴史、
のようなもの
第2弾は
六本木クロッシング2007
2004年の第1回展はクロスジャンルで出展作家も多く、
エネルギッシュでにぎやかな展示でしたが、
今回は、キューレーターも作家も絞られて、
ひとりひとりの作品をじっくり見せる構成になっています。
若手作家に限定せず、ベテラン(物故作家もひとり)も視野に入れて
「今見せるべき(チラシより)」アーティストを選んでいるのも前回との違い。
キューレーターの一人・椹木野衣氏は、パネル・ディスカッションで
「“若い”と“新しい”は別」と語っていました。
で、肝心の展示ですが
冨谷悦子の超細密エッチング、できやよいの指スタンプ・ペインティング、
榎忠の鉄鋼部品を集積した都市、原真一の彫刻の「耳」の洪水・・・
どれも見ているだけで気が遠くなるような緻密さ。
改めて
「密度は力だ」
と思い知らされました。
これは以前、ファインアートの作家何人かにインタビューしたとき、
感じたことでもあります。
コンテンポラリー・アートには「アイデア勝負」という印象もあるけれど
多くのアーティストは、アイデアを現実の作品につくりあげるまでに、
とてつもない時間と、手作業を積み重ねている。
「つくりながら、こんなこと思いつかなきゃよかった〜、
と思うこともあります」と打ち明けてくれた人もいました。
その情熱、というか根気には、頭が下がります。
率直に言って、できあがった作品は一歩間違えば無用の長物。
必ずしもお金にならないこと、
ともすれば嘲笑すら買いかねないことに、
信念をもって、膨大な労力をつぎ込める・・・。
もしかすると、その自分のアイデアへの「盲信」こそが
芸術家になれるかなれないかの境目なのかもしれません。
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