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六本木クロッシング2007@森美術館

日本のコンテンポラリー・アートの、歴史、
のようなもの

第2弾は
六本木クロッシング2007

2004年の第1回展はクロスジャンルで出展作家も多く、
エネルギッシュでにぎやかな展示でしたが、

今回は、キューレーターも作家も絞られて、
ひとりひとりの作品をじっくり見せる構成になっています。

若手作家に限定せず、ベテラン(物故作家もひとり)も視野に入れて
「今見せるべき(チラシより)」アーティストを選んでいるのも前回との違い。

キューレーターの一人・椹木野衣氏は、パネル・ディスカッションで
「“若い”と“新しい”は別」と語っていました。


で、肝心の展示ですが

冨谷悦子の超細密エッチング、できやよいの指スタンプ・ペインティング、
榎忠の鉄鋼部品を集積した都市、原真一の彫刻の「耳」の洪水・・・

どれも見ているだけで気が遠くなるような緻密さ。

改めて

「密度は力だ」

と思い知らされました。

これは以前、ファインアートの作家何人かにインタビューしたとき、
感じたことでもあります。

コンテンポラリー・アートには「アイデア勝負」という印象もあるけれど

多くのアーティストは、アイデアを現実の作品につくりあげるまでに、
とてつもない時間と、手作業を積み重ねている。

「つくりながら、こんなこと思いつかなきゃよかった〜、
と思うこともあります」と打ち明けてくれた人もいました。

その情熱、というか根気には、頭が下がります。

率直に言って、できあがった作品は一歩間違えば無用の長物。
必ずしもお金にならないこと、
ともすれば嘲笑すら買いかねないことに、
信念をもって、膨大な労力をつぎ込める・・・。

もしかすると、その自分のアイデアへの「盲信」こそが
芸術家になれるかなれないかの境目なのかもしれません。

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安斎重男@国立新美術館

またしても、予備知識なしで出掛けてノックアウトされてしまいました。

国立新美術館で開催中の展覧会
安齊重男の
“私・写・録(パーソナル フォト アーカイブス)”1970-2006

仕事でライブラリーに行ったついでにふらり、と入ったら、もう出られない。
小1時間でちゃちゃっと見て帰るつもりだったのに・・・。

写真家・安斎重男が36年にわたって撮りためた日本のアート・シーン。
ホワイト・キューブの大きな壁いっぱいに貼り付けられた写真の、
その数と密度に、まず圧倒されます。
そして、そこからたちのぼる何ともいえないパワー。

1970年から始まる年表形式のディスプレイを順に追っていくと
日本の現代美術の歴史ドキュメンタリーを早送りで見るようです。

安斎重男という個人の目から見た歴史だから、
もちろん偏りはあるのですが、
同時に、個人の目を通しているからこそ、
ある一本の軸が通っているようにも感じられます。

個展会場でのオープニングパーティーのスナップのように
ほんとに「パーソナル」な印象の写真もあれば、

テンポラリーなインスタレーションやパフォーマンスなど
記録として貴重な写真も数々。

同時代だけに、
各年の写真に自分の記憶を重ね合わせる
(というか、引きずり出される)楽しみもあります。

今はもうなくなってしまった西武美術館や佐賀町エキジビットスペース、
水戸芸術館や直島コンテンポラリーアートミュージアムが開館した頃
横浜トリエンナーレや越後妻有アートトリエンナーレ。

もちろん発見もたくさんあります。

私にとっては、たとえば
「ダニエル・ビュランは1970年にすでに東京にストライプひいてたのか!」
ってことでした。

もう何年も買わずにすませていた図録も購入。

どうもこのところ、日本のコンテンポラリー・アートの、歴史、
のようなものにつかまっています。

この項続く。

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題名のない子守唄

監督&音楽は「ニュー・シネマ・パラダイス」のトルナトーレ&モリコーネ。
邦題は「題名のない子守唄」

たったそれだけの予備知識で、のほほんと観に行ったら
のっけから度肝を抜かれてしまいました。

息つく暇もないサスペンス。
東欧からやってきた謎めいたヒロインの過去が、
映像でしか表現できない方法で徐々に語られていく・・・。
かなり胸の痛くなるようなシーンも含まれますが、
ラストは・・・(については、開巻前に監督から口止めが。)

原題は「La Sconosciuta」。
直訳すれば「知られざる女」ってところでしょうか。

これならミステリーっぽいですね。

ヒロインを演じるクセニア・ラパポルト
子役のクララ・ドッセーナが素晴らしいです!


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「日経アーキテクチュア」2007年10月8日号

日経アーキテクチュア10月8日号で取材したのは、
以前「新しい住まいの設計」でもお世話になった
河野有悟さんの「東京松屋UNITY」。

「江戸からかみ」の版元である東京松屋
自社ビル兼賃貸マンションとしてつくった建物です。

建築については本誌をご覧いただくとして、
ここでは「江戸からかみ」について聞きかじったことを
お伝えしたいと思います。

京都発祥の公家好みの「からかみ」は、江戸に持ち込まれることで、
新しもの好きの町人文化の洗礼を受けました。

雲母(きら)刷りや金銀の泥引きなど、
新しい手法が次々と取り入れられます。

何代もに渡って版木を継承してきた京からかみに対し、
度重なる火災と震災で版木を消失した江戸からかみは、
より大判の版木を開発してきました。

ゆえに、南蛮更紗のような連続模様も得意です。

先般、東京松屋は、岐阜の旧家に疎開していた
古い版木を発見したそうです。

伝統の再発見。ひとごとながらワクワクします。

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恋とスフレと娘とわたし

「恋とスフレと娘とわたし」

最初にタイトルを知ったときは、フランス映画かと思いました。
「スフレ」だし。

実際は、とことんアメリカンでした。
母娘姉妹のべったりした関係とか、どたばたした展開とか。

ストーリーは、予告編を見ればすべてわかります。
楽しむべきはディテール。

見所は、ダイアン・キートンの健在ぶりとそのファッション、かな。
ぶっといベルトでウエストをマークし、たっぷり膨らんだスカートはいて。
ちょっとマネできません・・・。

登場人物の個性が表れた、それぞれの住まいのインテリアも見物。

前半、ダイアンのあまりにうっとうしい母親ぶりに、
かなりイライラしてしまいました。

女性は楽しめると思うけど、男性にはおすすめできないな。

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手抜き「切り干し大根の煮物」

この夏の猛暑で、家で煮炊きする気力が失せがちでした。
とくに常備菜のたぐいは火にかける時間が長いし・・・。

涼風がたって、やっと少し、やる気が戻ってきたものの
仕事の片手間にする料理、時間は惜しい。


この「切り干し大根の煮物」のレシピは、
いろんな料理本を参考に「いちばん手間がかからない方法」を集約したもの。
かつおぶし出汁は使わないので、100%植物性。
しかもけっこうオイシイ、と自負しております。


●手抜きポイント1:切り干し大根は戻さない。

ささっと洗ってキッチンばさみでちょきちょき切るだけ。
「ナマクラ流ズボラ派」料理研究家・奥園壽子さんの
ズボラ人間の料理術に学んだ方法です。

●手抜きポイント2:油揚げの油抜きも省略

新しいものを買ってきてすぐ使うなら、油抜きはいらないと思う。
煮る時間が長いので、味はちゃんと含みます。

で、以上の切り干し大根と油揚げ、
スライサーで細切りにしたにんじんをごま油でちゃちゃっと炒める。

●手抜きポイント3:出汁はとらない。

油がまわったら、お水をひたひたに入れて、
お砂糖と薄口しょうゆを大さじ2ずつぐらい加える。
出汁の代わりに、キッチンばさみで細く切った昆布を入れて、
一緒に煮てしまいます。

あとは、切り干し大根がふっくらし、煮汁が少なくなるまでほっとくだけ。

切り干し大根そのものの甘みが出るので、
あんまり甘くしたくなければ、お砂糖は控えめがおすすめです。


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「EXE」vol.10

普請道楽。


そんな言葉を思い出しました。

「EXE」最新号で取材した、伊豆の別荘。
彫刻をつくるように建築をつくる、という発想なんです。

「住み心地より見た目!」

断言できる人は、滅多にいるものではありません。

建て主はたぶん団塊世代のアートディレクター。
お話の中には超・有名クリエーターの名前が次々登場し、
バブルの頃を思い出しました。


もう一軒は、GW中に取材して、
このたびやっと日の目を見た軽井沢の別荘。

こちらも建て主はパワフルな団塊世代の某・有名外資企業の社長さん。

なんだかんだいっても、団塊は強いです・・・。


こうした、社会のトップランナーの住まいを訪ね、
その刺激的なお話を伺う機会を与えてくれた「EXE」誌。

残念ながら今号で休刊です。

少人数編集部で、いつも多忙を極めていたみなさま、
お疲れ様でした。

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