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ふたつの「アーツ&クラフツ」展

去年の暮れから先月18日まで、パナソニック電工の汐留ミュージアムで。
そして、翌週24日から東京都美術館で。

立て続けに「アーツ&クラフツ」展が開かれています。

両方が連動しているわけではないのだな、と思うのは、
かたや「アーツ・アンド・クラフツ」
かたや「アーツ&クラフツ」と表記が違うから。

現在開催中の都美術館のほうは、
企画:ヴィクトリア&アルバート美術館、
主催:東京都美術館&朝日新聞社、とあって、出品点数は280点に上ります。
(汐留ミュージアムは140点。ハコの大きさからすればがんばってる!)

一方、展示内容を振り返ると、
汐留は副題に<イギリス・アメリカ>とあるとおり、
モリスから始まって、アーツ・アンド・クラフツ協会、
グラスゴーのマッキントッシュと続き、
最後は「アメリカに渡ったアーツ・アンド・クラフツ」、
フランク・ロイド・ライトで締め括る構成。

都美術館のほうは、
英国発のアーツ&クラフツがヨーロッパに広がる様子を追い、
オーストリア、ドイツ、ハンガリー、ロシアと続いて、
最後は日本の「民芸」運動にたどり着き、
柳宗悦らが建てた「三国荘」の再現が目玉展示。

ふたつの展覧会を併せ見れば、モリスと「アーツ&クラフツ」が
世界中のデザインに影響を及ぼした様子が概観できます・・・

と、まとめてみても、残念ながら汐留の展示はすでに終了。

せっかくの2つの展覧会、もっとうまくリンクさせてもよかったのに。

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「蘭平物狂」ほか@歌舞伎座さよなら公演2月目

立ち消えになったかと思われた歌舞伎座建て替え。
ついに本決まりになりましたね。
私もやっと、二ヶ月目に入った
「歌舞伎座さよなら公演」夜の部に行ってきました。

最初の演し物は、「蘭平物狂」。実は、初めて見ました。
「お宝」を尋ねる筋書きは歌舞伎にお馴染みだけれど、
そこに、なぜか能で有名な在原行平と松風が絡み・・・

しかし、そんな筋書きはどうでもよくて、
見せ場は「物狂」の踊りと大立廻り。

この立廻りがまた、長いのですね。
今夜のお客はノリがいいというか、、、ずいぶん盛り上がっていました。

私はと言えば、
「ひゅう、ひゅう」と奇声を発して走り回る四天(よてん)を見ながら、ぼんやりと
「これがショッカー(@仮面ライダー。古すぎ?)の祖先だったか・・・」
などと思いめぐらせ・・・

ともあれ、主人公・蘭平(三津五郎)の息子を演じる、
宜生くん(橋之助の三男)がかわいいです。


2本目は「勧進帳」。
吉右衛門の弁慶、菊五郎の富樫。
義経は梅玉、亀井六郎以下は染五郎、松緑、菊之助、段四郎と超豪華キャスト!
「蘭平」と違い、これまで数え切れないほど見た中でも出色でした。
惜しむらくは、
問答での吉右衛門さんのセリフがなぜか、聞き取りにくく感じられたこと。
初日からまだ4日目だからでしょうか。


追い出しは、私の大好きな「三人吉三」大川端庚申塚の場。
お嬢吉三は玉三郎で、始まる前からワクワクしていたのですが・・・

「月も朧の・・・」の語り出しに、下手なかけ声が重なってがっかり。
玉三郎さんもやりにくかったのでは。
その後のセリフ回しもあっさりした感じで、
私には、ちょっと物足りなく感じられました。

しかし節分の翌夜、絶妙のタイミングで大好きな演し物にあたったのですから、
ここは
「こいつァ春から、縁起がいいわえ」
としておきたい、と思います。

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ランドスケープ-島尾敏雄展

「ダム」「工場萌え」「東京鉄塔」「恋する水門」「ジャンクション」

以上はみんな、2007年に発行された写真集。
「ドボク萌え」がブレイクした年といえましょう。
2008年6月には、武蔵野美術大学で「ドボク・サミット」も行われたよし。

翻って、現在東京都写真美術館で開催中の展覧会、柴田敏雄「ランドスケープ」

被写体はダムや土砂崩れ防止のコンクリートなどの、まさしく「ドボク」なのですが、
そこに向けられた視線は、明らかに「萌え」とは一線を画します。
とくに、山肌に張り付いたコンクリートの写真は、傷口のように痛々しい。
同時に、意図されざる造形美も浮かび上がります。

それにしても、タイトルが地名だけなのはちょっと不親切。
何を目的に造られた「ドボク」なのかわからない写真も多くて、欲求不満が残りました。



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