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同世代が語る戦争ー「戦場でワルツを」

イスラエル映画、「戦場でワルツを」

監督アリ・フォルマン自身の「レバノン侵攻」出征体験に基づいて
アニメーションで描かれたドキュメンタリーです。

日本では、
「おくりびと」(←見てない)とアカデミー外国語映画賞を争った、
ということで話題になりました。


私はどうも「アニメーション」が苦手で、これまで避けていたのですが

「やっぱり、観よう」という気持ちになったのは

この映画が、私にはまったく未知の
「中東戦争におけるイスラエル人の立場」が一人称で描かれている、
と聞いたからです。


第2次世界大戦やベトナム戦争を描いた映画はいくらもあるけれど
現在まで間断なく続く中東戦争を描いた映画は観たことがない。


複雑きわまる中東紛争の一端でも、
知ることができるのでは、と思いました。


けれども、

映画が語るのは、

「イスラエル人」の立場なんかじゃない。

否応なく戦争に放り込まれた

「個人」の心の過酷な彷徨です。


フォルマン監督は言います。


これは「ベトナムやイラクから帰還したアメリカ兵や、
アフガニスタンから戻ったロシア兵でも描ける映画」だと。


観終わって、何より私の心に刺さったのは、


アウシュビッツから生還した両親の元に生まれ、

自らは兵卒として戦場に赴いたフォルマン監督が、

なんと私と同年生まれだった・・・ということでした。


同世代が語る戦争体験。


戦争は、「歴史」の中だけにあるわけじゃない。
今更ながら、そんなことを実感しました。


ドキュメンタリーではあるけれど、
語られる内容のほとんどが「記憶」であるゆえに、
「アニメーション」表現はぴったりです。


リアルと幻想の狭間を漂う映像は美しく、
しかも観るものを飽きさせないエンターテイメントに仕上がっています。

去年観てたら「第1位」でした。
シネスイッチ銀座では15日まで。


おすすめです。


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