アトリエ・天工人「土プロジェクト第1弾」
山下保博さん率いるアトリエ・天工人の「土プロジェクト」。
土を、食品添加物にも指定されている酸化マグネシウムで固めてブロックにし、
積み上げてつくる組積造の建築物です。
元来、建築とはその土地にある材料を使ってつくるものでした。
たとえば、サン・フランチェスコ聖堂で有名なイタリアの都市アッシジは、
街全体が淡いピンク色をしています。
これは、この近辺で産する石がピンク色だからだそうです。
「土プロジェクト第一弾」住宅は、私にアッシジの街を思い起こさせました。
おそらくは構造の必然性もあって、開口の少ない建物は、ロマネスクの小さな聖堂のようです。
土は世界中にあるものだから、どこででもその場の材料でつくれる。
そこにある材料でつくれば経済的で、環境負荷が小さいことは言うまでもなく、
そんな建物が並べば、必然的に美しい街並みができあがるわけです。
外観。かなり小さい印象です。
平面形状は勾玉のかたち。表に現れる部分はほとんど曲面だけの建物です。
延べ床面積はほんの41㎡ほどですが、天井が高く、思いの外広く感じます。
空間に角や直線がないことも、広がりを感じるゆえんかもしれません。
キッチンの裏側に、ロフトへ上る階段があります。
曲面の壁に沿って上る感覚も、なんとなく宗教施設を思わせます。