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オノ・ヨーコさんの言葉

昨日、森美術館主宰のMAMアートコース最終回の
オノ・ヨーコさんの講演を聴いてきました。タイトルは「希望の路」

10月16日まで広島市現代美術館で行われている、第8回広島賞受賞記念展
リンクしての講演です。

当初は「長崎への路」というタイトルで計画していたというこの企画、
3・11の震災を受けて、「希望の路」に変更したそうです。

講演は、展覧会の紹介もそこそこに、
過半の時間が会場の参加者との質疑応答に費やされました。

オノ・ヨーコさんと直接言葉を交わす、というまたとない機会に、
興奮と緊張で言葉が上滑り気味の質問者も少なくない中、
それぞれの意をすくいあげて、即座に、真摯に、やさしく
的確な言葉を返していくヨーコさん。

質疑の中で、ヨーコさん自身が「言葉の力がいかに強いか」を語っていましたが
その繰り出す言葉は、どれもとてもシンプルで力強くて、
勇気を与えてくれるものばかりでした。

耳を傾けるのに夢中でメモをとらなかったので、正確な文言ではありませんが
私の心に残ったヨーコさんの言葉を、私なりに整理して以下に紹介したいと思います。

(3・11後、何をすればいいかわからない、という質問者たちに)
「あなたの世界で、精一杯、あなたができることをすればいい。
私たちにはそれしかできないし、それだけでいい」
「あなたが自分らしくあろうと努力するだけで、まわりにいい影響を与えることができる」
「海面に小さな石をひとつ投げるだけで、世界の海を変えられる」

(原発推進派やシニカルな傍観者などを説得したい、という質問者たちに)
「人を説得するには事実しかありません。事実が人の考えを変えていくでしょう」
「意見の異なる人を言葉で説得するのは難しい。
それよりも、あなたが信念に沿って行動すれば
その態度を見て、相手が影響を受けることでしょう」

「(ジョンとの)“ベッドイン”のとき、すぐにも世界が平和になると思ったけれど、
そうはならなかった。 時間はかかります。
でも、広島に原爆が落とされた直後、広島が今のようなすばらしい街になるとは
 誰も思っていなかったはず。 だから、未来は開かれているのです」

(ヨーコさんの作品を見て感動した、という質問者に)
「その感動はあなたがつくったものです。 Audience Participation.
私は少し扉を開いたけれど、その先に路をつくったのはあなたです。
その感動は、あなたと私がつくったものなのです」

それにしてもヨーコさん、声に張りがあって、姿が凜として、
なんともいえずカッコよかった!
思わず生まれ年を確認したら、なんと私の母と同年生まれ(78歳)でした!
同じ女性として、こんなふうに年を取りたい、
というお手本を見付けました。

【余談】
ヨーコさんの言葉以外にも、感じ入ったできごとがひとつありました。
会場では、ヨーコさんに質問したいと希望者が列をなしましたが、時間は限られています。
しかし、司会者が「質問はあとお二人まで」と声をかけても、
誰も列から離れようとはしません。
そこで、森美術館館長の南條史生さんは
「列に残っている方たちで勝ち抜きじゃんけんをしてください」と誘導。
みんなが納得して気持ちよく引き下がることができる、みごとな機転だと思いました。

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