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ルーヴル美術館展 日常を描くー風俗画にみるヨーロッパ絵画の神髄

国立新美術館で6月1日まで開催中の「ルーヴル美術館展」に行ってきました。

膨大なコレクションを誇るルーヴル美術館ゆえ、
企画展もその都度、趣向を凝らして編集されるようです。

直近の東京での「ルーヴル美術館展」といえば、一昨年の東京都美術館
このときのテーマは、ヨーロッパ文化揺籃の地「地中海」。
つまり、「地理」の軸でルーヴルが擁する8美術部門を串刺しにするものでした。

対して、今回のテーマは「風俗画」。つまり「ジャンル」軸です。

展示には2段構えの「プロローグ」があり、
まず、オリエントやエジプトなど古代美術部門から、風俗画の起源を示し、
次に、「歴史画」「肖像画」「風景画」「静物画」という
他ジャンルの作品と比較しながら「風俗画」を位置付けて見せます。

本編は16世紀初頭から19世紀半ばまでのヨーロッパ各地の名画の数々。
時間も地域も超えて「労働と日々」「室内の女性」など主題別に展示されています。
人々の日常生活の情景が描かれているだけに、
見る人もイメージが膨らむのか、観覧者同士のおしゃべりが弾んでいました。

ただ、作品を深く理解するためには
それぞれが描かれた地域や時代背景を知りたいところ。
せめて、その作家が活躍した国(が、今のどこの国に該当するか)ぐらい
キャプションに書き込んであればいいのに、と思いました。
もっとも、表記をどう統一するかと考えれば、かなり難しそうですが。

「風俗画」といわれると、いろんな意味でスケールが小さい印象もありますが、
誰にも見覚えがあるような傑作も多数出展されています。
目玉はもちろんフェルメールの「天文学者」でしょう。これについては稿を改めます。

ヴェネツィア派の巨匠ティツィアーノ、クエンティン・マセイスやブリューゲル、
スペイン・バロックのムリーリョ、ロココのヴァトー、ブーシェ、シャルダン...と
どれもじっくり鑑賞できて感動的でした。

【私の一点】
この展覧会で出会った印象的な一点は「コローのアトリエ」。たぶん初見。
1873年頃の制作とあるので、コロー晩年の作品ですね。
マンドリンを手にカンバスを見つめる、後ろ姿の若い女性、
アトリエの風景とカンバスの中の風景の対比。物語があって、愛らしい小品でした。

写真は1983年のバルビゾンの街。すっかりセピア色ですね。
生まれて初めての海外旅行(主目的はパリ)でした。
駅からタクシーで行って、迎えに来てもらうまで、
時間をつぶすのに苦労した思い出が(^^ゞ

1983315001

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