Posts categorized "12・映画&お芝居"

Tuesday, 22 September 2009

「人は変われるものだと信じている」--映画『クリーン』(ネタバレあり)

久しぶりに、「また観たいな」と思える映画に出会いました。

マギー・チャン主演 『クリーン』

ヘロイン中毒の歌手が、一人息子とともに生きるため、再生の道を探る物語。

と、

書いてみて気がつきましたが、最近話題の某事件と似てますね。。。


でも、映画を見ている間は、まったく重なることはありませんでした。


マギー演じるヒロイン・エミリーは、かつてパリで人気を博したこともあるらしい歌手。
しかし、その頃から薬物中毒から抜けられず、
有名ロックスターの夫・リーをも巻き込んでしまいます。
そのうえ、二人の間に生まれた息子ジェイはリーの両親に預けっぱなし。
はっきり言ってダメダメで、しかも高慢ちきな女なんです。


物語は、落ち目のリーがエミリーと喧嘩した挙げ句、
オーバードーズで亡くなってしまうところから始まります。
周囲の人はみな、エミリーがリーをダメにし、死なせたと思う。
リーの両親、とくに義母は、ジェイにも「ママがパパを殺した」と教えるほど。


けれども、ニック・ノルティ演じる義父アルブレヒトは、
立ち直るため奮闘するエミリーの姿に、徐々に心を開いていきます。


物語終盤には、いやがるジェイをエミリーのもとに連れて行く。
そこでアルブレヒトがエミリーに語るのが表題の台詞。


「人は変われるものだと信じている」


この台詞もいいですが、このあとに出てくる台詞がさらにいい。


ジェイと暮らすため、一度は歌手の夢をおさえ、
デパートで売り子として働くと決めたエミリーでしたが
結局、オーディションのため海外に渡ることを選びます。ジェイを連れて。

アルブレヒトが、自分の目を盗んで旅立とうとしたふたりを見付け、
エミリーに真意を質したあとに発する、意外な台詞。


「困難なときに大きな決断をするのは難しいことだ。
 それでこそ君だ。祝福するよ」


アルブレヒト自身も、まもなく訪れる妻の死を前に、
「困難なとき」に立ち向かおうとしています。


「支え合おう」という言葉に説得力があり、深く、やさしい。

とてもストレートな「再生」のストーリー。
勇気をもらえる映画です。


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Friday, 22 May 2009

五月大歌舞伎夜の部@歌舞伎座

今月夜の部の演し物は、キワモノ揃い、、、と言って悪ければ、
レアモノ揃い、です。

歌舞伎観劇歴20年(・・・ぐらいでは歌舞伎の世界じゃコムスメだけど)
の私でも、初めて見る芝居ばかりでした。

幕開けは、近松門左衛門「恋湊博多諷(こいみなとはかたのひとふし)」
通称「毛剃」。

物語は近松らしい、傾城の身請け話なのですが、
舞台が博多というところがミソ。

坂田藤十郎演じる、正調上方和事の商人に対し
團十郎演じる海賊(その名前こそ「毛剃」)のセリフは、
なんと長崎なまり。(・・・なのか!?)

郭のお座敷は欄干が中国風(?)だし、
初演当時の観客は「異国情緒」を感じたのかもしれません。

上方商人は、身請けのお金を借りるために海賊の仲間に入る。
「おいおい、いいのかそれで」
と言いたくなるような幕切れでした。


二幕目の清元舞踊「夕立」はもっとすごい。

下郎が高貴な女性を手籠めにしたら、
その女性が下郎の男らしさに惚れてしまった・・・・
というトンデモ筋書きは、
歌舞伎には他にもあるけれど、
そこだけ取り出して一幕、というのはいくらなんでも。

上演は昭和48年以来というのですが、
なんで復活させようと思ったのかわかりません。

観客席には修学旅行の女子高生もいて、
おそらく初めての歌舞伎でしょうに、こんなの見せられるとは・・・。


やっと少し心が洗われるのは、人情話「神田ばやし」。
原作はラジオドラマとか。こちらも昭和45年以来の上演です。

海老蔵がとぼけたお人好しを演じるところに妙味あり。
一方の大家さん役・三津五郎は、思わずわが目を疑ったほど
老け役がハマっていました。


最後は「おしどり」。
前半の美しい人物が、後半で獣(ここではおしどり)の化身となって現れる、
いわば「鏡獅子」パターンのお芝居です。

筋書きはともかく、
ひさしぶりの「平成の三之助(いまや「助」は菊ちゃんだけだが)」揃い踏み。
やっと歌舞伎らしい目の保養ができました。


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Tuesday, 17 March 2009

チェンジリング(ネタバレあり)

珍しく仕事に追われている今日この頃。
1カ月のご無沙汰でした。
・・・誰か、待っててくれた・・・?

忙しくても、ときには風穴を空けなくっちゃ、と自分を甘やかし、
週末は、以前から気になっていた映画「チェンジリング」を観てきました。

監督は、クリント・イーストウッド。
ヒラリー・スワンクと組んだ「ミリオンダラー・ベイビー」も、
一瞬たりともゆるみのない緊張感溢れる構成でしたが、
アンジェリーナ・ジョリーとの本作も同様です。

物語の導入部はTVCFなどでも流れたので
ご存じの方が多いと思うけれども、
誘拐された愛息が戻ってきたと思ったら
別人にすり替わっていた、ということから始まる物語です。

アンジェリーナ扮する母親、クリスティン・コリンズの
息子を取り戻すための戦いは
物語途中、権力に対する正義の戦いと重なり、
いったん勝利を収めたところで
観客はあやうく溜飲を下げそうになるのですが、
クリスティンにとっては息子の消息こそすべて。
その、まっすぐで強い意思に胸を打たれます。

けれども、その後の経過は、あまりにむごい。

「ミリオンダラー・ベイビー」も「チェンジリング」も、
ある種の「女の戦い」を描き、ひとつの「勝利」を与えながらも
結末がむごく、それでも観客に希望を与える点で共通しています。

ちなみに、「チェンジリング」のクリスティンは実在の人物。
映画を観たあとHPで、事件のわずか7年後に亡くなったと知り、
映画を超える現実のむごさに、また胸が痛くなりました。


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Thursday, 05 February 2009

「蘭平物狂」ほか@歌舞伎座さよなら公演2月目

立ち消えになったかと思われた歌舞伎座建て替え。
ついに本決まりになりましたね。
私もやっと、二ヶ月目に入った
「歌舞伎座さよなら公演」夜の部に行ってきました。

最初の演し物は、「蘭平物狂」。実は、初めて見ました。
「お宝」を尋ねる筋書きは歌舞伎にお馴染みだけれど、
そこに、なぜか能で有名な在原行平と松風が絡み・・・

しかし、そんな筋書きはどうでもよくて、
見せ場は「物狂」の踊りと大立廻り。

この立廻りがまた、長いのですね。
今夜のお客はノリがいいというか、、、ずいぶん盛り上がっていました。

私はと言えば、
「ひゅう、ひゅう」と奇声を発して走り回る四天(よてん)を見ながら、ぼんやりと
「これがショッカー(@仮面ライダー。古すぎ?)の祖先だったか・・・」
などと思いめぐらせ・・・

ともあれ、主人公・蘭平(三津五郎)の息子を演じる、
宜生くん(橋之助の三男)がかわいいです。


2本目は「勧進帳」。
吉右衛門の弁慶、菊五郎の富樫。
義経は梅玉、亀井六郎以下は染五郎、松緑、菊之助、段四郎と超豪華キャスト!
「蘭平」と違い、これまで数え切れないほど見た中でも出色でした。
惜しむらくは、
問答での吉右衛門さんのセリフがなぜか、聞き取りにくく感じられたこと。
初日からまだ4日目だからでしょうか。


追い出しは、私の大好きな「三人吉三」大川端庚申塚の場。
お嬢吉三は玉三郎で、始まる前からワクワクしていたのですが・・・

「月も朧の・・・」の語り出しに、下手なかけ声が重なってがっかり。
玉三郎さんもやりにくかったのでは。
その後のセリフ回しもあっさりした感じで、
私には、ちょっと物足りなく感じられました。

しかし節分の翌夜、絶妙のタイミングで大好きな演し物にあたったのですから、
ここは
「こいつァ春から、縁起がいいわえ」
としておきたい、と思います。

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Monday, 19 January 2009

「ザ・ローリング・ストーンズ・シャイン・ア・ライト」

思わず拍手しそうになりました。
映画なのに。


ストーンズ・ファンだったことはなく、
レコード(CDではなく)を買ったこともない。

けれども、1990年、初来日のときには
周囲の熱が伝染して、コンサートに出掛けました。
バブルが弾け散る、かすかな気配を感じた頃。

だから個人的には、ストーンズの思い出は
バブル時代に結びついている。


あのときすでに
東京ドームで豆粒のように見えるミック・ジャガーの、
それなのにエネルギーが伝わってくるパフォーマンスに
「その年齢ですごい!」と思ったわけですが、

振り返れば、当時のミックは今の私と同じ年頃・・・。


映画は2006年に行われたコンサートのドキュメンタリー。
だけど、ミックの背後からのショットは、
きっと20歳代の頃と変わらないに違いありません。


映画館からの帰り道、
六本木交差点の「アマンド」が閉まっているのに気付きました。
正確には閉店ではなく移転ですが、

交差点にあってこその「アマンド」ではないでしょうか。


ミックやキースのパフォーマンスは変わらないけれど、
バブルは遠くなりました。


「ザ・ローリング・ストーンズ・シャイン・ア・ライト」

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Tuesday, 27 May 2008

白浪五人男

歌舞伎の演目数ある中でも、河竹黙阿弥の白浪物が、大好きです。

とりわけ菊五郎の「お嬢吉三」と「弁天小僧」は何度観てもわくわくします。

歌舞伎を知らない人でも知っている(今どきはそうでもないか?)
あの、お嬢の名台詞「月も朧に白魚の・・・」が始まるときは
「待ってました!」と叫びたくなる。


さて、千秋楽も過ぎたあとで恐縮ですが、
今年の團菊祭は、夜の部に「白浪五人男」が出ました。

それも、「通し」で。

「知らざぁ言って聞かせやしょう」の「浜松屋」と
五人男のツラネの「稲瀬川勢揃い」はお馴染みですが、

時代がかった序幕と
大道具をダイナミックに使う立ち廻りの「大詰」は、珍しい。

通しで観ると、弁天小僧の「出生の秘密」から「悲劇の最期」に至る
数奇な運命(!)の全容がわかります。

弁天小僧は、もちろん菊五郎。

團菊祭なので、日本駄右衛門に団十郎が付き合い、
南郷力丸に左団次、赤星十三郎に時蔵、忠信利平に三津五郎。
贅沢このうえない配役で、たっぷり堪能しました!


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Monday, 15 October 2007

題名のない子守唄

監督&音楽は「ニュー・シネマ・パラダイス」のトルナトーレ&モリコーネ。
邦題は「題名のない子守唄」

たったそれだけの予備知識で、のほほんと観に行ったら
のっけから度肝を抜かれてしまいました。

息つく暇もないサスペンス。
東欧からやってきた謎めいたヒロインの過去が、
映像でしか表現できない方法で徐々に語られていく・・・。
かなり胸の痛くなるようなシーンも含まれますが、
ラストは・・・(については、開巻前に監督から口止めが。)

原題は「La Sconosciuta」。
直訳すれば「知られざる女」ってところでしょうか。

これならミステリーっぽいですね。

ヒロインを演じるクセニア・ラパポルト
子役のクララ・ドッセーナが素晴らしいです!


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Sunday, 07 October 2007

恋とスフレと娘とわたし

「恋とスフレと娘とわたし」

最初にタイトルを知ったときは、フランス映画かと思いました。
「スフレ」だし。

実際は、とことんアメリカンでした。
母娘姉妹のべったりした関係とか、どたばたした展開とか。

ストーリーは、予告編を見ればすべてわかります。
楽しむべきはディテール。

見所は、ダイアン・キートンの健在ぶりとそのファッション、かな。
ぶっといベルトでウエストをマークし、たっぷり膨らんだスカートはいて。
ちょっとマネできません・・・。

登場人物の個性が表れた、それぞれの住まいのインテリアも見物。

前半、ダイアンのあまりにうっとうしい母親ぶりに、
かなりイライラしてしまいました。

女性は楽しめると思うけど、男性にはおすすめできないな。

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Sunday, 09 September 2007

コバケン&日本フィル@サントリーホール

リニューアルなったサントリーホール。

・・・実のところ、
どこが新しくなったのかよくわかりませんでした。

どうも、スピーカーシステムの更新とかバリアフリー化とか
機能面の充実が主目的だったようです。


日フィルの「名曲コンサート」は
小学校の音楽鑑賞の時間に聴くようなメジャー曲ばかりなので
私のようにクラシックに疎い者でも楽しめます。

しかし、土日の午後2時開演というのはどうなんでしょうか。
お昼寝にぴったりの時間で、どうしたってウトウトしてしまいます。

約5分のオープニング「ルスランとリュドミラ」序曲に続く2曲目は
チャイコのヴァイオリン協奏曲ニ長調、
眠くなるところなんかない曲なのに・・・。


休憩を挟んで後半は「展覧会の絵」。

ラヴェル編曲の管弦楽は編成が多いところがいい(笑)。
オーケストラの醍醐味が味わえると思います。

アンコールは「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲と
ブラームスの「ハンガリー舞曲5番」。

コバケンこと小林研一郎氏は相変わらずサービス精神旺盛で、
締め括りにもう一度「展覧会の絵」のラスト1分半を繰り返してくれて
満足感たっぷりでした!

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Tuesday, 28 August 2007

「ロマンス」@世田谷パブリックシアター

こまつ座&シス・カンパニーの「ロマンス」

井上ひさしによるチェーホフの評伝劇です。


井上ひさしにもチェーホフにも、さほど深い関心はないのに、
なぜこのお芝居を観に行こうと思い立ったかというと、


それは、役者陣が魅力的だったからです。

大竹しのぶ、松たか子、段田安則、生瀬勝久・・・。

男性4人が主役チェーホフの少年時代から老年期までを交替で演じ、
大竹しのぶがチェーホフの妻、松たか子がチェーホフの妹と、
全員が主役を演じつつ、なおかつ脇役もこなす贅沢な配役。


・・・で、
井上ひさしにもチェーホフにも関心が深くない者にとって、
見どころは役者陣の演技に尽きました。


決して脚本が悪いという意味ではなく、
もしも井上ひさしやチェーホフの作品をよく知っていれば、
きっともっと深く理解できただろうになあ、ということ。


もちろん、予備知識なしでも十分楽しめました。

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Tuesday, 21 August 2007

八月納涼大歌舞伎@歌舞伎座

8月の歌舞伎座は、納涼大歌舞伎

いつもは昼夜二部制の歌舞伎ですが、
8月だけは三部制で、上演時間が短く、演目もいつもとひと味違う。
串田和美や野田秀樹、渡辺えり子などを起用したり。
中村屋の実験場、という印象もありますね。

上演時間が短いので、チケットも安い、はず、ですが、
今年は一等12000円。昔からこんなに高かったっけ?

と、思って改めてタイトルを見たら、
去年までの「納涼歌舞伎」が今年は「納涼“大”歌舞伎」に。
勘三郎さんを筆頭に、一座の格が上がったせいでしょうか。

もっとも、私はひとさまの株主優待に便乗してるので、
お代に文句を言う筋合いじゃないけど。


さて、私が観に行ったのは、
初日が開いて4日目の、お盆のさなか。第二部です。

演目は、山本周五郎原作の「ゆうれい貸屋」に
渡辺えり子作・演出の「新版舌切り雀」。

もう、歌舞伎役者が歌舞伎座で演じているという以外に
これを「歌舞伎」と呼ぶ理由はありませんな。

辰巳芸者の幽霊を演じる福助が、実に楽しそう。
福助は、こういう世話物の喜劇にはまります。

「舌切り雀」は、美術・加藤ちか、衣装・ひびのこずえで、
幕開け、おばさま(おばあさま?)方が
思わず「あら〜〜」と声を挙げるほど奇抜な舞台。

でも、どうやらぎりぎりまで脚本ができていなかったらしく
(当初のチラシには役名が印刷されてない)
演技も踊りも筋立ても、すべてがこなれていないカンジでした。

たぶん舞台数を重ねるにつれ、よくなるだろうと思うので、
そろそろ見頃(?)ではないでしょうか。

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Wednesday, 08 August 2007

フリーダム・ライターズ

「フリーダム・ライターズ」

実はこの映画、2カ月も前に試写で見たのですが、
レビューを書くとフライングになりそうなので控えていました。

メインのストーリーは、

ロス暴動後の荒みきった公立高校に赴任した、白人女性の新米教師エリンが
その熱意と努力でマイノリティの生徒たちの心に希望の火をともす・・・

というもの。

こう書くと、
教師と生徒の葛藤が描かれそうだけど
そのへんは意外とあっさりしていて、
荒んでいたはずの生徒たちは、割と素直にエリンに傾倒していきます。
これが実話と知らなければ「ちょっと出来過ぎじゃない?」と思ったかも。

それよりエリンが戦う相手は、制度や周りの先輩教師といった「オトナの世界」。

中でも個人的に気になっちゃったのは、
エリンと夫が離婚に至るまでのサイドストーリーでした。

離婚の原因は、エリンが仕事に夢中になるあまり
「僕の世話をしてくれない」とすねる
夫のワガママと見ることもできるけど、

私はこの旦那の気持ち、わかるなあ。

自分自身の社会的立場が不安定で、道に迷っているときに
パートナーである妻に、あれほど熱くゴリゴリ我が道を行かれたら、
嫉妬以前に、自分の不甲斐なさにいたたまれなくなるだろうと思う。

一方の「信念の人」エリンに、
彼の気持ちが理解できるかというと・・・

この齟齬を「愛」で乗り越えるのは、難しそうです。

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Thursday, 02 August 2007

「錦繍」@天王洲 銀河劇場

天王洲。こういってはなんですが、微妙な街です。

バブルの残照、というイメージがあるよな、
と思って調べてみたら、

開発着手が1985年、天王洲アイル駅開通が1992年
ということで、まさに・・・。


その昔「アートスフィア」と呼ばれていた劇場が
いつの間にか「天王洲 銀河劇場」に変わっており、
その「オープン1周年記念」として現在上演中の
イギリス人演出家ジョン・ケアードによる「錦繍」

宮本輝の原作も、読んだ記憶があります。

チラシにいわく
「かつて夫と妻だった男と女の、
愛と再生の物語(ロマン、とルビ付き。)」

主人公の元夫婦を演じるのは鹿賀丈史と余喜美子。
さすがに達者で魅力的です。

助演陣もいい。

書簡体の原作を、そのまま朗読してるんじゃないか
(もちろんそんなことはない)と思うほど忠実な脚本。
それを、ほとんど出ずっぱりの俳優陣が
入れ替わり立ち替わり演じ朗読する演出もおもしろい。

3時間10分という長丁場を少しも飽きさせません。

「再生」のラストあたりでは、
私も思わずウルウルしかかりましたが・・・
(近ごろ寄る年波で涙もろいの。)


しかし、よくよく考えてみると

浮気男に、ずいぶんと都合のいいお話だし

立て続けに夫に裏切られる、苦難のヒロインも、
「もう結婚はしないわ」といいつつ、
結局は財力のあるパパが頼りのお嬢さま。

と、いうことに思い至り、ちょっとしらけちゃいました。


ま、それは原作の問題ね。
それでも、なおかつ、お芝居は見応えあります(いやホント)。

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Sunday, 22 July 2007

歌舞伎座でシェイクスピア

男装の麗人とか、女装の美少年というのは、
洋の東西を問わず、芝居心をそそるもののようです。
お嬢吉三とか、弁天小僧とか・・・。

シェイクスピア「十二夜」の主人公は「男装の麗人」ヴァイオラ。

歌舞伎はもとより
シェイクスピア存命当時の英国のお芝居も、
俳優は全て男性だったそうですから

男が女の役を演じ、
その女がさらに男装する、二重の倒錯になるわけ・・・。


今月の歌舞伎座では、尾上菊之助くんが、
そのヴァオイラ(歌舞伎版では「琵琶姫」)を演じます。

2年ぶりの再演だそうですが、筋書(パンフレット)で
菊之助くんいわく、

前回は、スイッチを切り替えるように男女を演じ分けていたが、
今回は、ボリュームのつまみをまわすように男女を行き来している、

とか。

いやほんと、そんな感じでした!

もうすぐ主演映画も封切られるというし、
菊之助くん、絶好調です。

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Wednesday, 04 July 2007

三人吉三@コクーン歌舞伎

渋谷、コクーン歌舞伎の第8弾「三人吉三」

幸運にも、追加公演のチケットを入手しました。
連日、大入り続きだったみたいですね。

2001年の初演も観ているものの
「とってもよかった!」という感想以外は記憶になく・・(^^ゞ

ちゃんとは比べられないのですが、


今回は、因果応報のストーリーの、陰惨さが際立つ印象。
「三人吉三」って、こんなにクラい芝居だったっけ・・。


歌舞伎座でならわくわくと待つ、
「お嬢吉三」の「月も朧に白魚の・・・」の名台詞さえ

なまじその前段(夜鷹おとせがお嬢に襲われるまでの顛末)が
丁寧に演じられているだけに
三人吉三の「悪」が目立ちます。
お嬢役の福助の、喉を絞った感じの発声も、爽快とはいいがたい。

三人をヒーローにしないところが
今回の演出の狙いでもあるのでしょうが・・・。

1階客席前方を平土間にして
役者が客席を巻き込むお馴染みの演出も、

今回は、
状況劇場(古ぅ〜〜)のようなテント芝居を思い出させました。


芝居そのものがアングラっぽいからかな。


平土間の客は紙吹雪かぶってましたが、
状況劇場だったら水をぶっかけるところ。
コクーン歌舞伎はまだおとなしい(笑)。


エンディングを盛り上げるのは椎名林檎の音楽で、
そのへんが「歌舞伎として画期的!」と
当事者も観客も考えているようですが

ほとんどアングラ芝居を観ている気分になってた私には、
椎名林檎はハマりすぎで「ベタ」に思えたほどでした。

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Tuesday, 12 June 2007

「歌舞伎鑑賞教室」@国立劇場

高校生とご年配の観客に挟まれて
国立劇場の「歌舞伎鑑賞教室」に参加して参りました。

演目は、「引き窓」(双蝶々曲輪日記)、
上演に先立って解説役を務めるのは
当年とって28歳(のはず)の板東亀寿クン。
女子高生の注目を一身に集める役得です。

「花道」「定式幕」「見得」など超・基本用語の紹介に始まって、
「引き窓」の登場人物の相関関係(かなり複雑)を説明、
さらに、この幕に入る直前の場面を演じて見せてくれます。


「引き窓」を観るのは初めてじゃないけど、
複雑なストーリーをちゃんと理解したのは初めてかも(^^ゞ

通常、歌舞伎は「3〜4本立て」。
全部に集中できるわけはなく、
たまにはひと幕、じっくり堪能するのもいいなあ、と思いました。
「歌舞伎鑑賞教室」、侮りがたし。


とはいえ、高校生向けの演し物として
「引き窓」はいかがなものでしょうか。

歌舞伎の演目の中でも
台詞が難しい部類に入ると思うし、装置も衣装もお地味。

そのうえテーマは「義理人情」。
登場人物の誰もが他人のためを思うお話で、
まさか「徳目」として選んだわけでもなかろうけれど、
冷静に考えれば、現代人には理解しづらいところもある。
まして高校生にわかるのかな?

上演開始数十分で、
高校生たちの半分ぐらいがいっせいに船を漕ぎ始めたのが、
可愛いといえば可愛かったけど。

これっきり、
歌舞伎に興味を失ってしまわなければいいが、
と、
祈ってしまったことでした。

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Friday, 18 May 2007

團菊祭

5月の歌舞伎座は、團菊祭です。
平日夜の部もそれなりの入りでした。
全部が楽しい演し物で、陽気な気分に浸れます。


最初の幕は「女暫」で、羽左衛門さんの追善狂言。
もう七回忌にもなるんですね。

息子さんの萬次郎 はヒロイン・巴御前が初役だとか。
最後の幕外の引き込み(本物の「暫」では六方を踏むところ)で
女形役者の素に戻っての、三津五郎との掛け合いが楽しい。

平成の三之助(もはや「助」は菊ちゃん一人だが)の
揃い踏みを見たのも久しぶりでした。


二幕目は所作事で、
松緑の「雨の五郎」と三津五郎の「三ツ面子守」。

天井から下がった柳の枝が恋文のようにも見える、
鳥の子紙風の書き割りがきれいです。

三津五郎が少女の役をやるなんて、初めて見たように思いますが、
(2階後ろの席から見る限り)可憐でもあり、気味悪くも・・・。
おかめ、恵比寿、ひょっとこのお面を付け替えて踊るんだけど、
お面を外した顔もまた、お面のように見えました。


メインは「神明恵和合取組」すなわち「め組の喧嘩」。
歯切れのいい江戸弁が爽快です。

品川、八つ山、浜松町・・・
とお馴染みの地名が並ぶのも嬉しくて、
江戸時代と地続きの町を生きている実感が。

主人公辰五郎は、いくつになっても枯れない菊五郎にはまり役。
團十郎・海老蔵 親子の相撲取り役もぴったりです。

でも終幕、梅玉は声が枯れていて締め切れなかった。
風邪かな喉かな。
大事にしていただきたいものです。


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Monday, 14 May 2007

血の婚礼@東京グローブ座

「血の婚礼」といえば、
国内ではアントニオ・ガデスの映画(下記)で知られているのでは?
私も見たような遠い記憶が・・・(心許ない。)

原作はガルシア・ロルカの戯曲で、
20世紀に書かれたものというから
そう古くはないのですが、

現代の日本のリアリティからはかけ離れたストーリー。

で、あるからして、舞台で日本人が演じるには、
相当に緻密でなけれなならないと思うのです。

そこで、森山未來主演の東京グローブ座公演
観に行ったのは先週水曜日のソワレです。

キャストはそれぞれはまり役で、熱演。
シンプルな舞台装置の使いこなしもすばらしいと思います。

なんだけど、前述の通り、現実から遠い芝居ゆえ、
ちょっとでも台詞をとちられると(誰とは言わないが)
いきなり現実に引き戻されてしまいます。
私は、いまひとつ、舞台の世界に没入できませんでした。

だけど、この芝居の「ごちそう」(歌舞伎用語か?)は、
舞台袖で演奏する、渡辺香津美の生ギター。

芝居がはねたあとは、パエリヤと赤ワイン求めて
スペイン料理屋に足が向きました>^_^<

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Monday, 07 May 2007

バベル

連休最終夜の六本木ヒルズは、雨にもかかわらず混み合っていました。
ヒルズの中はところどころ露天なので、雨の日はちょっと歩きづらい。

それでも夕方早い時間には、いつも行列の南翔饅頭店にもすんなり入れ、
噂の小龍包を試すことができました。

確かに、悪くはない、が・・・私には、スープに溶けた肉の脂がややしつこい。
それより、ふつうの饅頭のほうがおいしいかも。


さて、軽く腹ごしらえしたあとは、
菊池凜子がアカデミー候補になったことで
一躍注目を集めた「バベル」を観てきました。


一発の銃撃がモロッコ、メキシコ、日本をまたぎ、
それぞれの運命を変えていく・・・という物語。

ドラマでは描かれない、数多くの登場人物たちのバックグラウンドを
わずかな台詞で伝える脚本がうまいなあ、
と思ったのは、物書き目線かもしれません。


主に「コミュニケーション」という視点から語られることが多いようですが、
いろんな見方が可能な映画です。

家族や愛情の物語に還元することもできるし、
さまざまな社会問題も含まれている。


なかでも私は、各国の登場人物がそれぞれ家族の一員を亡くし、
そのことへの責めを感じる物語に心動かされました。


けれども、
日本の物語については、ほかの物語との接点が希薄で
とってつけたような印象が否めません。
菊池凜子の演技が評判のヒロインの、
奇妙に性的な焦燥にも違和感を感じました。

一方の主役、ブラッド・ピットは状況が状況とはいえ、
最初から最後まで自分たちのことしか考えてない、
身勝手なアメリカ人に映る。


終幕、アメリカと日本のふたつの家族には
光明が兆しているようですが、

私には、負けず嫌いなモロッコ人の少年と
純朴だけれど気の短いメキシコ人青年の行く末ばかりが気になりました。

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Friday, 04 May 2007

クィーン THE QUEEN

今年のGWは「安・近・短」で東京が混むと、
とある情報番組が予測してましたが、

その通り。

六本木や表参道が混むのは仕方ないとして、
日比谷にこんなに人がいるかな〜〜。


話題のクィーンも満席でした。

10時に窓口に並んでも、
16時半の回が残席僅少だったそう(伝聞。)。


ダイアナ元妃が亡くなったのはもう10年も前だけれど、
ロンドン警視庁が「あれは事故死」と結論づけたのは
ついぞ去年の暮れでした。

そんなホットな事件を取り扱っていると思えば、
この映画の表現はとてもクールです。
事故直後の王室とブレアの様子を淡々と描き出す。


でも、このブレア、ちょっとかっこよすぎない?

女王の視点で描かれるだけに、
当然、観客は女王に感情移入しやすくもなるでしょう。

もしかして背後には、英国政府と英王室の
深謀遠慮があったりして。

・・・ま、
それにしてはチャールズの影が薄すぎますが。


やくたいもない憶測はさておいて、

私はこの映画、「世代間ギャップ」の物語として観ました。

女王とダイアナ、女王とブレア、
さらには、女王と時代そのものとの。

女王にはダイアナが理解できなかっただろうし、
ダイアナも女王を理解しようとはしなかったでしょう。
ダイアナの悲劇に熱狂した大衆もまたしかり。

でも、ブレアは・・・


と、いうことで、やっぱりこのブレア、
ちょっとかっこよすぎでした。

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Wednesday, 28 March 2007

「橋を渡ったら泣け」@シアターコクーン

ひさしぶりのシアターコクーン、
ひさしぶりの(歌舞伎関連以外の)お芝居でした。

設定は、
大災害後の山中、生き残った人々のコミュニティ。
そこへ、よそからもうひとり、
生き残りの男が現れて・・・

閉鎖された極限状態の中で、
ひとはどんなふうに生きるのか。

ありがち、といえばありがち、
ストーリーの展開も、
いかにも、といえばいかにも。

でも。その「いかにも」と感じられること、
そのものが
脚本と芝居の成功でもあります。

ひとりひとりの確固としたキャラクター、
にもかかわらず、
状況に応じてくるくる変わる、互いの力関係。

それを見せる演技のうまさ(特に男性陣)。


エンディングは、
とってつけたようではあったけど、
でも、これしかないよね〜〜、と思える。

やっぱり、生の芝居っていいな。

と、ひさしぶりに、実感しました。

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Friday, 23 February 2007

それでもボクはやってない

観てからずいぶん時間が経ってしまいました。
でもまだ上映中ですよね、
周防正行監督、11年ぶりの新作という
「それでもボクはやってない」

周防監督、公開当初はテレビに出まくって
いろいろ語っておられましたし、
映画のテーマやストーリーについてはここでは触れません。

この映画の収穫は、なんといっても
主演の加瀬亮クン(と、呼びたくなる感じ)のリアルな演技。
「迫真」と表現すると印象が変わってしまうのだけど、
なんというか、確かにそこに、
その役の人物が生きている感じがしました。

あとで、「硫黄島からの手紙」の元憲兵役だったと気づき、
びっくりしちゃった。

ほかのキャストもそれぞれにいいのですが、
瀬戸朝香はハマリ役だけに「やっぱり瀬戸朝香」。
「サービス」なのか、竹中直人が顔を出すシーンも、
そこだけ映画のリアルな雰囲気を、ちょっぴり壊してしまった感あり。

役所広司・・・
役所広司が登場した時点で、みんなが予想するような役回り、
とでも言えば、わかっていただけるかな?
このところ、ちょっと役柄が偏ってきてはいないでしょうか。

ちなみに、近ごろ役所広司のプロフィルからは
「失楽園」が消去されている模様。
トヨエツには、そっちに行って欲しくないな(笑)。

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Tuesday, 20 February 2007

仮名手本忠臣蔵

2週間のご無沙汰でした。

「鬼の霍乱」というのも大げさですが、
ひさしぶりに風邪にやられてしまいました。
この暖冬に、なんという間抜けでしょうか。

これまた大げさですが、
「自分の体が自分の思い通りにならないもどかしさ」を
痛感しました。健康を過信してはいけませんね。
みなさまもお気を付けください。

と、いいつつ、まるっきり休んでいたわけでもありません。
仕事も、
遊びも。

日曜の夜は「株主優待券」のご相伴で歌舞伎座へ。
ニッパチ対策なのか、微妙に季節外れの演目、
「仮名手本忠臣蔵」の昼夜通しです。

夜の部は、五段目の「山崎街道鉄砲渡しの場」から始まって
六段目の「勘平腹切り」、七段目の「一力茶屋」、
そして十一段目、「炭部屋本懐」まで。
どれもよく出る場で、もう何回観たかなあ・・・という感じですが、

菊五郎の勘平、玉三郎のお軽、吉右衛門の由良之助は
ワタクシ的にはベストな配役。
そのうえ、七段目の寺岡平右衛門に仁左衛門と、
まったく隙がありません!

いつぞや観たときは、菊五郎の勘平の腹切りにふるえたものですが、
今回は、七段目の玉三郎のお軽が印象的でした。

玉三郎のお軽も何度も観ているはずですが、
七段目では、かつてよりお軽の稚気が強調されているようで、
可愛さが募る一方、すこーし、くどくも感じられました。

とはいえ、繰り返しになりますが、今回の配役は
ビジュアル的にも演技も申し分なし。

「忠臣蔵」観るならぜひものです!

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Sunday, 04 February 2007

ドリームガールズ

2月17日公開の「ドリームガールズ」
友人の役得に便乗して試写会に行ってきました。

タイトル通り、テーマはずばり「夢」。

登場人物それぞれの夢へのアプローチの仕方、
その過程で得るもの失うもの・・・
「夢をめぐる諸相」といったところでしょうか。

近ごろ日本も何やら「夢」ブームだし、
邦画もがんばっているようですが、
こんなふうに「夢」を真正面から取り上げる映画は
日本人にはなかなかつくれない気がする・・・。

音楽も衣装もロケ&セットもすばらしく、
久々にハリウッドの本領を見た感じです。

キャストの、物語が進むにつれて
顔つきさえ変わっていく演技も見物。

中でも、ヒロイン・ディーナを演じる
ビヨンセの変貌ぶりがすごいです。

最初は「どれがビヨンセ?」と
思っちゃうぐらい存在感を消していたのが、
中盤以降、サイボーグっぽい美女に変身し、
ラストシーンではまた、がらりと違う顔を見せます。

そのルックスの変化が、
ディーナの内面のどんな変化を表しているかは・・・
見てのお楽しみ、ということで。

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Sunday, 28 January 2007

マリー・アントワネット

ソフィア・コッポラのマリー・アントワネット

男女で評価の分かれる映画、ではないかと思います。
そもそも、観客に男性が少ない。

映画は徹底してヒロイン・マリーの立場から描かれており、
女性ならばたやすく感情移入できるのでは。

「お局さま」とのやりとりや
子どもができないことを責められて苦しむ姿、
うさばらしに「お買い物」に走っちゃうところとか。
スケールは違っても、「わかるわかる」と思うはず。

画面いっぱいに溢れかえる愛らしく華やかな色彩、
テンポよく展開する絵画のようなシーン、
バックグラウンドに流れるポップな音楽。
それだけでも十分に楽しめます。

他方で、その斬新で豪奢な演出とは裏腹に、
マリー、そして夫・ルイ16世のキャラクターは
周囲の期待に懸命に応えようとする
従順でけなげな若者に描かれ、いとおしくて、哀しい。

彼らの目に映る「周囲」はあまりに狭かった。
映像は宮廷を出ることなく、破局は唐突に訪れますが、
マリーにとっては、ほんとにそんな感じだったかも。

と、言うことで、「女性には」、おすすめ。
男性には・・・ぜひ感想聞いてみたいです。

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Thursday, 25 January 2007

ダーウィンの悪夢

話題の映画、「ダーウィンの悪夢」を観てきました。

重たいドキュメンタリーなのに、館内はかなりの入り。
単館ロードショーとしては動員数も多いようです。

内容は、

「ダーウィンの箱庭」と呼ばれる生命の宝庫、ヴィクトリア湖に
何者かが放った巨大魚、ナイルバーチが生態系を破壊し、

他方、その漁獲によって
周辺地域は苛烈な資本主義システムに巻き込まれ、
貧富の差の拡大や児童虐待、劣悪なドラッグや売春、
HIVなどの問題が蔓延している・・・・というもの。

現地のさまざまな立場の人々が語る、
一人称の、生の言葉をつないで構成されており、

ときどき、補足のために2,3行の字幕が差し挟まれる以外は
第3者が余計な解説を加えることはありません。

誰がナイルバーチを放ち、誰がその輸出を仕組んだのか、
探ったり糾弾したりすることもない。

でも、その映像は淡々としつつ凄まじい。

矛盾する表現のようですが、観た人ならばわかるはず。

いったいどうやって撮ったんだろう、
どうやってここまで入りこんだんだろう・・・。


グローバリゼーションの善悪を、軽々に論じることはできません。
この映画のメッセージも、一面的ではない。

ただ、私自身が知らないうちに、でも確かに関わっている、
生々しい現実が、目の前にどさりと重く、放り投げられたようでした。

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Monday, 15 January 2007

初芝居

初芝居は新橋演舞場にて。
Img_1207
いのうえひでのり演出・市川染五郎主演の
「朧の森に棲む鬼」を見てきました。
染通な友人たちのおかげで
4列目中央という特等席!


劇団☆新感線×市川染五郎のコラボも5回目、
最初に見た「阿修羅城の瞳」(2000年)の印象が強烈だっただけに、
その後の作品は、どうしても二番煎じに見えてしまいがち。

今回のウリは、主演の染五郎が「悪役」だ、ってことで
登場シーンでは憎めない小悪党だったのが、
劇中、のし上がるに従って凄味を増していくのが見所です。
脚本も巧みで飽きさせません。ただ、笑いのキレはイマイチか。

同じ染五郎が三谷幸喜と組んだ、
昨年のPARCO歌舞伎がすごかったので、
どうしても点が辛くなってしまいますが、

切符代(一等12600円ナリ)で
お釣りがくるぐらいの価値はあります。

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